このブログは、大人の人が改めて「使える英語を学びたい!」と思った時に、役に立つ内容を書こうと思って始めました。
ですが、このブログを読んでいる大人のみなさんの中には、自分も英語を勉強しつつ、「我が子にも英語をできるようにさせてあげたい」と思っている方もいるでしょう。
先日、読者の方から、
「小学生の子ども達が英語に興味を持っているので、勉強させてあげたいのですが、何から始めたらよいでしょうか?」
という質問をいただきました。
私自身は、英語教育の専門家ではないのですが(汗)、4年間オーストラリア・パースに住み、二人の子ども達が英語を習得する過程を間近で見てきました。
その中で、英語圏の子ども達が学校でどのように英語を学習しているのか?ということについても、親として学びました。
その経験から、今回は「小学生の子どもが英語を勉強するとしたら、何から始めたらいい?おすすめの勉強法は?」を書いてみたいと思います。
何のために英語を勉強する?
まず最初に、「小学生が英語を勉強する」という時、「何のために?」という部分が非常に大切だと思います。
最近では、2020年に新しい学習指導要領が導入されるのを機に、小学3年生から英語の授業が必修化されることが話題になりました。さらに、今まで成績評価の対象ではなかった小5・6年生では、英語の成績が評価され、教科書も導入されるとのこと。
(この件については、以下の過去記事に書きました)
こうした流れをふまえ、「授業で遅れを取らないために、早くから英語を学ばせないと」と思い始める親御さんもいるでしょう。また、中学受験などでは、すでに英語の試験もあるのかもしれません(私はよくわかりませんが)。そういった「中学受験や学校での勉強の成績アップのため」に、英語を学ばせたい、という方もいるでしょう。
一方で、純粋に「子どもに英語の楽しさを知ってほしい!」「苦手意識がつく前に、英語をできるようにしてあげたい!」「感性が柔軟な子どものうちにこそ、英語や異文化に触れさせてあげたい!」といった理由で --- つまり、学校の成績とは関係なく -ーー 将来のために、子どもに英語を学習させたいと考える人もいるでしょう。
そのどちらか?によって、やるべきことは変わってくると思います。
もしも、受験や学校の成績のために英語を勉強させたいのであれば、進学塾や学習塾で英語を勉強させるのが一番良いでしょう。なぜなら、塾の先生は、学習指導要領のことや、英語の評価基準のことなど、今の学校事情をよくご存じでしょうし、それに対応した指導を行えるからです。
でも、もしも「将来的に使える英語」を少しでも子どもに学ばせたいと思うなら……それは、「終わりのない英語習得への道」の第一歩!
親にできることがあるとしたら、間違いや評価を気にせずに、「さまざまなタイプの英語」に触れ、「英語を使っていく」機会を作ってあげることではないか?と思います。「英語で言われたことがわかった!」「英語で言いたいことが言えた!」を積み重ねていくこと……。子どもの喜びを、支えてあげること。
この記事では、後者の場合について、日本でもできるいくつかのアイデアを紹介したいと思います。
楽しく英語に触れる機会作り
まず、取り入れたらよいと思うのは、とにかく「英語に触れる機会」を家庭で作る、ということです。
「英語に触れる」といっても、幅広いと思いますが、手軽にできることから取り組んでいきましょう。
もし、お子さんが好きな英語の歌やディズニーアニメ、英語の動画などがあれば、それを一緒に見たり聞いたりするのはおススメです。
というのも、まず子どもは、好きなものに対してはとてつもない好奇心や集中力、探究心を発揮しますよね!?
興味ある素材に巡り会えれば、正直、大人が「英語を勉強しなさい!」なんて言わなくても、子どもは引きこまれて、自分からどんどん覚えていくでしょう。親は、質問に答えたり、一緒に調べたり、適切な辞書や本、DVDなどを与えてあげるなど、サポートしてあげたらよいと思います。そうやって覚えたことが、実は一番本人の力になるのでは?
ただ、いきなり難易度の高い英語に触れても、わけがわからなくてイヤになってしまうかもしれません。
そんな場合は、幼児向けの英語番組などは、手始めによいのではないかと思います。
以下の記事では、英語初心者にも比較的わかりやすい、子ども向けの動画を紹介しています。
記事中にある、オーストラリア放送協会(ABC)の『ABC Kids』の公式ウェブサイトから、色んな動画を漁ってみるのもおすすめです。
また、算数に興味がある子なら、こちらの記事で紹介しているYouTube動画もおススメです。英語圏の幼稚園~小学生が、楽しく「数の数え方」や「算数の表現」を学べるように作られた、歌のYouTubeを紹介しています。
完全な英語環境とは異なると思いますが、日本にいてもこの年齢で英語の音に触れることは、子どもの「英語に対する感性」を磨くためによいのでは。
たとえお子さんがあまり英語に興味を示さなくても、家の中で英語の歌を聞いたり、英語のアニメや動画を流しておくのも、よいかもしれません。
子ども時代にまったく「英語」を聞いたことのない人よりも、なんとなくでも「英語」を聞いていた人の方が、後々英語を勉強する時に苦手意識が少なくて済むのではないか、と思います。
海外の文化や雰囲気を学ぶにも、よい機会になると思います。
単語を覚えるなら、サイトワード(sight words)?
子どもだって、やっぱり「言葉の意味」がわかれば、英語はもっと楽しくなるかも!
そこで、基本的な単語を教えてあげたい……と思う親御さんは多いかもしれませんが、いったいどんな単語から覚えさせたらいいんだろう?というのも悩ましいですね。
そんな方に紹介したいのが、「サイトワード(sight words)」です。
サイトワードとは、英語圏において、子どもが覚えることが推奨される英単語のことです。特に、「(単語を分解して解読する必要がなく)とにかくそのまま意味とスペルを覚える」べき単語です。
子ども向けの本などで使われる頻度の高い単語であるとともに、基本的なことを表現するために欠かせない単語、という側面もあります。
サイトワードには、研究者によっていくつかのリストがあるらしいですが、たとえば Dolch Sight Word(Dr. Edward William Dolchという研究者が、1930-40年代の子ども向けの本などを研究し集めたサイトワードのリスト)では、名詞以外の単語(動詞や代名詞、助動詞、前置詞など)220語と、名詞95語がサイトワードとして挙げられています。
オーストラリアの英語教育では、このサイトワードから優先的に覚えているようです。
日本の子ども達が英語を学ぶ際にも、どんな単語から優先して覚えて行ったらよいか?を考える時、一つの目安になるかもしれません。
以下のリンクは、Dolch Sight Words のリストです。
ページコンテンツは、以下のようになっています。
- 幼稚園入学前:40単語
- 幼稚園:52単語
- 第1グレード:41単語
- 第2グレード:46単語
- 第3グレード:41単語
- 名詞サイトワード:95単語
※「グレード」が学年を指しているのか?は不明。
これらの単語を覚えると、簡単な英語の本が読めるようになったり、英語を聞いて意味が理解できるようになるでしょう。
単語の意味と発音は、親が電子辞書などを利用して教えてあげてくださいね。
また、サイトワードを覚えるための、こんなiPhone用無料アプリもあります。(iTunesへリンク)
◆Learn Sight Words By BrightTrail
フォニックス(Phonics) とは?なぜ学ぶ?
子どもの英語教育が盛んになってくるにつれ、日本でも「フォニックス(phonics)」という言葉が浸透しつつあります。
「子どもが小さいうちにフォニックスを覚えさせた方がいいのかな?」と考える親御さんもいるでしょう。
確かに、英語圏の学校では、特に低学年の子どもに対してフォニックスを教えることが重要視されています。我が家の子ども達も、小学校でフォニックスを習って来ました(息子は今も習っています)。
フォニックスとは、簡単に言うと、「英語のスペルと音の法則を知る」ためのものです。
日本語は、「あいうえお」の文字と発音は必ず一致しているので(文脈の中で発生する例外的なケースはありますが)、基本的には、それぞれの文字の発音のしかたを知れば、単語の読み方がわかります。「あいうえお」の文字と読み方を覚えれば、「あおい」も「うえ」も「いえ」も読めますよね?
でも、英語の場合は、アルファベットは26文字ありますが、前後の組み合わせなどにより、各アルファベットの発音のしかたが変化します。
たとえば、a は /eɪ/ なのに、cap (/kæp/) ・ take (/teɪk/) ・ car (/kɑːr/) など、単語の種類や現れる位置によって、発音にバリエーションがあります。
あるいは、s は /ɛs/、h は /eɪtʃ/ですが、sand (/sænd/) では /s/ という子音になり、hot (/hɒt/) では /h/ という子音になります。さらに、shell (/ʃel/) のように、sh が重なったパターンでは、s とも h とも違った子音になります。
このように、英語はアルファベットとその読み方を覚えるだけでは、つづりと発音(読み方)を結びつけることができません。
そして、実際の「つづりと発音のパターン」を網羅すると、それは結構なバリエーションになるのです。
それを覚えていくのが「フォニックス」です。
※ただし、フォニックスのルールに当てはまらない単語も、英語には結構あります。しかもサイトワードに多く含まれます。そこで、フォニックスとは別に、サイトワードはサイトワードで、しっかりとつづりと読み方を覚えていく、という位置づけのようです。
日本人が英語を学ぶ上で、フォニックスが有効だと私が思う点は、「日本語にはない母音・子音が英語にはある」ということを体感できる、ということです。
フォニックスを学ぶなら
日本でも、フォニックスを学ぶための教材が色々と販売されていると思います。
ただ、実際にフォニックスの学び方は、子どもにとっては「学習」というよりも、言葉遊びやちょっとした体操(口の体操?(笑))を覚えるような感覚だと思います。理屈で説明する必要はなく、
「今日は u = /ŭ/ という発音をやってみよう!bus, cup, cub, but, bun, sun …」
みたいな感じで、声に出していく。これを繰り返しながら、少しずつ複雑なものへと発展させていきます。
今は、iPhoneなどで使えるフォニックス練習用アプリが色々と出回っています。
一日短時間(5分とか)、アプリを利用しながら親子で楽しく練習するのは、よいアイデアかもしれません。
ただし、アプリは無料有料さまざまありますし、出来の良さ悪さも色々あると思いますので、あくまで「フォニックスってどんなもの?」を体験するためのものとしてとらえるとよいのではないか、と思います。
私自身はそうしたアプリを利用したことはないのですが、使えそうなものをいくつか紹介しておきます。(iTunesのページにリンクしています)
◆Phonics Genius – by Innovative Mobile Apps
有料アプリ(\120)。実際にダウンロードしてみましたが、動作は至ってシンプル。
フォニックスのつづりと発音の組み合わせごとに、そのパターンが含まれる単語が次々と表示されます。もちろん発音を音声で確認できます。
あまり面白みはないかもしれないけど、練習用にはいいかも……?
難点は、レベル別になっておらず、初歩的なものも難しいものもいっしょくたになっているところかな?
こちらは、有料アプリ(\600)。私自身は使っていませんが、アメリカ版の App Store のページでは、レビューの評価が非常に良い!ので、紹介しておきます。小学生にはちょっと簡単すぎるかも?初歩的な練習にはよいかもしれません。
こちらも有料アプリ(\600)です。Jolly Phonics & Grammarは、イギリス発祥の英語教材会社。教材開発を通して、「効果的な英語の読み書きの教育法」を世界中に広めてきました。ここオーストラリアでも、実際に息子の通うプライマリースクールでは、Jolly Phonics & Grammar のメソッドが英語教育に取り入れられています。しかも、効果を上げているそうで、先生方からも評判がよいです!
そのJolly Jolly Phonics & Grammar の Phonics 学習用アプリ。私自身は使ったことがありませんが、信頼できると思ったので、紹介しておきます。
ダウンロードの際は、仕様やレビューをよくお確かめの上、行ってください!
より本格的な英語学習のためのオンライン教材
アプリは、使う目的をハッキリと把握した上で、特定の限られた点をトレーニングするためなら使えると思いますが、学習者の習得レベルに合わせた、発展性のある学習には向かないと思います。
子どもの習得のレベルに合わせた自主学習をさせたいが、どんな教材を使ったらよいのか……と悩んでいる方に、私自身がおすすめしたいのは、
というオンラインプログラムです。
こちらは有料ですが、2週間の無料トライアルが試せます。
内容は幅広く、フォニックスの練習もできるし、サイトワードを覚えたり、本を読んだり……といった練習が、オンラインでできます。しかも、楽しく、子ども自身が進めて行けます。
パースの小学校でも、Reading Eggs は自主学習用に導入されており、我が家の息子も宿題代わりに家で取り組んでいます。
子どもが楽しく取り組めるものでありながら、教材としてしっかりとした研究の上作られたものなので、信頼できると思います。発音も聞いて覚えられます。
Reading Eggs に関しては、日本語の情報が極端に少なく、日本からはどんな支払方法になるのかなど、ちょっと定かではありませんが(すみません)、紹介しておきます。興味ある方は先のリンクよりアクセスしてみてくださいね。
ちなみに、iPad 対応のiTunesアプリもあるようです。こちらも、私の方では動作確認等していませんが、一応リンクを貼っておきます。
◆Reading Eggs Learn to Read – by Blake eLearning
英会話教室・子どもオンライン英会話など
もしもお子さんが本格的に英語に興味を持ち、しっかりと学ばせてあげたいと思ったら、やはり子ども向けの英会話教室などに通わせてあげるとよいのではないでしょうか?
しっかりとしたプロの先生に、キチンとした道筋で教えてもらうことは、上達への確実な近道だと思います。
また、海外の人と英語で会話を楽しむ!という経験をさせてあげるのも、よいことだと思います。たとえば、スカイプ英会話で有名なDMM英会話が、キッズ対象のレッスンを始めたようです。こういった機会も、子どもには楽しいかもしれませんね。無料体験ができるそうです。
海外旅行に行ったり、外国人のお友達を作ることが、一番良いのかもしれませんが、なかなか難しい場合もあるでしょう。いろんなツールを利用して、子どもが「英語に楽しく触れる」機会を、色んな角度から作っていくことが、プラスになるのではないかと思います。
まとめ
今回紹介した勉強法は、「英語ができるようになる」ことより、あくまで「英語に楽しく親しむ」ことを重視した提案です。
というのも、小学生くらいの年齢ならば、英語に触れれば触れるほど、結果的にたくさん吸収していく力があると思うからです。
毎日少しずつ取り組みながら、お子さんのペースで英語に慣れていくことを、見守ってあげてほしいです。
最後に一つ言わなければならないこと……。
こうして子どもが英語を学んだとしても、それは必ずしも「学校の英語の成績がよくなる」こととイコールではない、ということです。
それまで楽しく英語に親しんできたのに、小学校高学年になり、中学生になり……学校の英語の試験では、いい成績を取れない、ということもあるかもしれません。
でも、もしも後々、そういうことがあっても、どうか自信を失わないようにサポートしてあげてほしいです。学校の「点を取るための」英語の勉強と、世界の色んな人とコミュニケーションするために必要な英語スキルは、違う点がたくさんあります。
ただし、学校の勉強がまったく役に立たない、とも思いません。
私自身は今、英語圏に住んで思いますが、日本の学校で学ぶ基礎的な英文法は、なんにせよ学ぶ価値がある内容だと思います。それらをきちんと学んでいくことで、小さい時にやってきた『話し言葉の英語』にさらに磨きをかけていくことができるでしょう。
しかしながら、学校で学ぶ内容も、幅広い『英語学習』のごく一部でしかない、ということは、忘れないでいたいですね。
お子さんがより自分らしい人生を生きるために、英語が役立っていきますように!