東京は外国人観光客が訪れやすい街?英語対応は進んでる?

1月の半ばに、一週間ほど家族で日本に帰国していました。日本に帰るのは、3年ぶりでした。

今回の一時帰国では、東京に数日ステイして観光をした後、夫の両親が住む兵庫県へ移動し、そこで何日か過ごしてパースへ帰ってきました。

もともと私は東京生まれ、その後も40歳近くまで、東京とその周辺(千葉・埼玉)で暮らしてきたので、東京は私にとって、とても馴染みの深い都市です。

また、現在パースで暮らす子ども達にとっては、自分の国・日本の首都『東京』は、オーストラリアのお友達も知っている、海外でも有名な都市。しかしながら、子ども達自身は、東京の記憶と言うのがあまりないらしい……。「東京に行ってみたい!」と、言われるようになりました。

そこで今回、東京に「観光」に行くことに決めたのです。

先に、日本への帰国は3年ぶり、と書きましたが、東京を訪れるのは6年ぶりです。

オーストラリア・パースで、こちらの文化や英語環境にどっぷり浸かって生きている、私達家族。

日本の様子は、ネットのニュースやSNSなどで見聞きしていますが、実際に6年ぶりに東京を訪れてみて、やはり私の知っている頃とは、色んな部分で変わっていました。

特に、「海外在住者」として東京を訪れてみると、日本に住んでいる時にはわからなかったことに、気づくこともありました。

また、息子は日本語があまりわからないため、息子を通して「英語話者」の視点で街の様子を知ることもできました。

これから、2020年に開催される東京オリンピックに向けて、東京を中心に、日本全体で外国人観光客への対応を充実させる必要性は、ますます高まっていくでしょう。

東京は、「海外からの観光客にとって訪れやすい街」と言えるでしょうか?

英語対応はどのくらい進んでいる?

といったことについて、今回私自身が「海外在住者」の視点で感じたことを、書いてみたいと思います。

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「外国人観光客が多い」というのは本当だった?

今回、私達は浅草に滞在し、浅草周辺・スカイツリー・上野・渋谷などを訪れました。

浅草と言えば、外国人観光客に人気の観光スポットの一つ。都会でアクセスも便利だし、浅草寺や雷門、仲見世通りなどは、日本ながらの風情も十分に堪能できる場所です。また、すぐ近くには東京スカイツリーもあります。

私達も今回、まさにこれらの観光名所目当てで、浅草に宿泊したのですが(笑)。

まず、浅草を歩いてみた率直な感想が、「外国人観光客が多い!」ということです。

仲見世通りや雷門周辺はもちろんのこと、料理道具などの問屋街として知られる「かっぱ橋」でも、ごく普通のお店に、必ずと言っていいほど外国の人の姿が。

一時、中国人旅行客による「爆買い」という言葉が話題になったのは、私も知っていました。が、実際に東京を歩いてみて、中国語や韓国語を話す買い物客が本当に多いな、と感じました。6,7年前には、結構珍しく感じたと思うのですが……。

浅草寺周辺では、キレイな着物を着て、髪をアップにした女性たちが歩いていましたが、「きれいだな~」と思ってすれ違うと、聞こえてくる会話は中国語。このパターンはとても多かったです。

もちろん、英語圏を含め、世界各国からの、人種もさまざまな観光客の人達を多く見ました。

そんなわけで、私自身の肌感覚として、東京の街としては(個人では差があるでしょうが)、かなり「海外からの人に慣れている」といった印象を受けました。上野や渋谷・表参道も同じような感じでした。

飲食店やショップなどでも、英語・中国語・韓国語による表示はだいぶ広まっていると感じました。外国人観光客が増えたことによる「必要に迫られた対応」なのかもしれませんが、結果的に、海外の人からすれば、旅行に来やすくなった、と言えるでしょう。

また、前回日本に一時帰国した時は(東京ではなかったけれど)、息子が道やお店でペラペラ英語を話すと、じろじろと周りから見られて居心地悪く感じたものでしたが、今回はそんなことはほとんどなかったです。そのため、私自身も、今回はより気楽に過ごすことができました。

街全体として、海外から来た人に対する「慣れ」を感じました。

「話す英語」東京のレベルは?

お店や飲食店などでも、海外からの観光客を英語で案内しているスタッフも多くみかけました。

私達が宿泊したホテルのベルスタッフの若い男性は、息子が英語で質問したら、英語で答えてくれたのですが、それが流暢な英語で感心しました。

また、かっぱ橋のおはし屋さんでは、男性スタッフの方が、もちろん私達には日本語で、そして息子にはとてもわかりやすい英語で話しかけてくれました。おかげで、息子用のおはしをゆっくり選ぶことができました(オーストラリアでは子ども用の箸が買えない)。

息子だけでなく、私達家族にとっても、こうした英語対応はうれしく、安心感があり、すばらしいと感じました。

日本語がわからない海外からの旅行者にとっては、やはり英語がしっかり話せるスタッフがいることは、安心感や利便性につながると思います。英語が通じやすい場所だとわかれば、海外の人もまたリピーターとして来るだろうし、友人にも薦めるはず!

一方、こうしたスタッフの「英語対応」については、個人差というか、レベルがまちまちだと感じました。

たとえば、小さなカフェでお茶をしていた時、海外のお客様が入ってきたのですが、満席だったようで、店員さんが

Sorry, full seat!

と言っていたんですね。

もちろん、黙って手を振って追い出すよりは10000倍いいんですが、英語としては、たとえば、

“I’m sorry, but we are full at the moment.”

(一般的に、「このカフェはただいま満席です」)

のように、文章で言う方が、接客と言う意味では丁寧です。

また、ある商店街では、お客様への注意を促すアナウンスが英語で流れていたのですが、

“No food, no drink. Thank you.”

という感じでした。もちろん、「食べ物、飲み物を持ち込まないでください」という意味なのはわかります。

標識看板注意事項の箇条書きなどで、『No food』『No drink』というのはアリです。

が、「話す英語」としては、以下のような「文による表現」の方が、聞く側にとっては丁寧に感じるのでは、と思いました。

Food isn’t allowed in this area.

この場所では飲食は禁止されています。

(~ isn’t allowed = ~は許可されていない)

もちろん、個人として、海外の人と話す機会がふいにやってきたら、恐れることなく「知っている単語や言い回しでコミュニケーションを図る」ことが、まず一番大切!

が、今後オリンピックに向けて、ホスピタリティのレベルアップを図るなら、「話し言葉の英語」「接客の英語」については、さらに向上する余地はありそうです。

ただ、全体として、飲食店やお店などに関しては、「英語を話す人に対する抵抗感」を感じることはほとんどなく、私のイメージよりはだいぶ進んでいると感じました。

英語化が足りないところ?

一方、予想外のところで「え、英語表示がないの?!」と驚いたところがあります。

今回、サイエンスに興味のある息子を連れて、上野の国立科学博物館に行きました。

パースの博物館に比べたら規模も大きく、展示もとても工夫が凝らされていて、素晴らしかったです。

ただ残念だったのが……、英語の説明が、ごく限られたわずかな場所にしかなかったこと。

受付で英語対応について聞いたところ、英語の音声案内のレコーダーが借りられる(確か300円とか)他、館内にも英語の説明がところどころにあります、とのことでした。

で、実際に見ていくと……。

ところどころにある、タッチパネル式の展示説明には、確かに英語でのオプションもありました。が、一番目につきやすい、展示物の題名や見出し、短い説明などは、ほとんど日本語のみ

息子の大好きな、恐竜の骨格の標本や、JAXAが打ち上げた小惑星探査機「はやぶさ」の実物模型。その「はやぶさ」が小惑星「イトカワ」から持ち帰った微粒子の実物を観察できるコーナーなど……。たいへん見ごたえのある展示内容だったのですが、息子が展示の説明を読むことができなかったのが、残念でした。

海外からのファミリーも多く訪れていたので、もう少し、パッと見てわかる場所に、英語の見出しや短い説明があればよいのでは……。と思いました。

こうした「国の展示施設」は、もっと英語化が進んでいるのかな、と思っていたけれど、民間のお店や施設などと比べると、むしろ遅れているのかな?と正直思いました。確かに英語化されてはいるけれど、肝心の「外国人観光客」にとって助けとなる部分の英語化が足りていない、という印象を受けました。

あくまで、私個人の感想ですが……。

一方、東京の最新の観光名所ともいえる、スカイツリー

こちらも、外国人観光客がとても多く、海外からのツーリストに人気の施設なのだな、と思いました。こちらはさすがに「英語化」も進んでいて、英語の表示も充実している印象を受けました。海外の人に英語で案内しているスタッフも多くみかけました。

「飲食店の禁煙化」も、外国人観光客にはポイント?

また、外国人観光客を迎え入れるにあたって、課題となるのは「英語」という言葉の問題だけではありません。

さまざまな文化やライフスタイルを持つ人々が、一時的とはいえ、それなりに「安心して」過ごせるか、ということも大切な視点です。

その一つが、「禁煙化」ではないでしょうか?

私自身は喫煙者ではありません。また、子育て中ということもあり、日本在住時はレストランや喫茶店などでの「たばこの煙」に悩んできたタイプです。時代の流れとともに、禁煙席は増えてきたと思いますが、禁煙席を選んで座っても、すぐ隣が喫煙席エリアだったりして……。食事中にたばこの煙がもくもく流れてくるのは、正直、吸わない身にとってはツラいですね。子どもの受動喫煙も気になりますし。

ちなみに、私の住むパースでは、飲食店など、公共の場での屋内での喫煙は禁止されています。カフェやレストランはもちろん、バーやパブなども、建物の中は禁煙。

そのため、外食の際に受動喫煙することは、まったくありません!

また、日本では、お酒が飲めるお店って、たいてい喫煙OKですよね。「お酒飲みながらたばこを吸うのは当たり前!」って感覚、あると思います。なので、店内は空気が悪く、ちょっと夫婦でビール飲みに行きたいな、と思っても、子連れで行くのはあきらめるしかありませんでした。

でも、こちらの環境だと、子連れでも安心してお酒を飲みにいける!(笑)

パースで暮らす中で、そんな「外食でのたばこ問題」をすっかり忘れていました。

でも、今回日本に行くことになり、外食せざるを得ないため、全面禁煙の飲食店ってあるのかなぁ……。と、心配になりました。

で、実際に調べてみて、正直驚きました。

浅草周辺では、全面禁煙のお店もかなりあることがわかりました。カフェ、ラーメン、うどん、焼肉……。

居酒屋など、お酒が飲める場所も、全席禁煙のところがわりと簡単にみつかりました。これはうれしかったです!

もちろん、喫煙OKのお店もかなりあります。そもそも全体の店舗数が多いというのもあるでしょうが、全面禁煙のお店を探すのにも、苦労はありませんでした。これについては、自分の記憶と比べると、ずいぶん進んだな、と思いました。

実際に、日本へ遊びに来る外国人観光客にとって、大きな楽しみの一つは、「日本の食」ではないでしょうか?

パースで出会うオーストラリアの人々も、日本食が好き、と言う人はとても多いです。

一方で、世界的に禁煙が推奨されている今の世の中。せっかく「おいしくてヘルシーな日本食」を味わいたいのに、たばこの煙に悩まされて食事がおいしく味わえなかったら、満足度は下がってしまうのでは……。

海外では、オーストラリア・イギリス・ニュージーランド・カナダ・トルコ・アイルランド・ロシア……などなど、飲食店の屋内で全面禁煙の法律がある国は増えています。アメリカは州法で禁煙を定める州が増えており、ドイツやイタリア・フランスなどは、飲食店内では喫煙室以外でたばこを吸うことは法律で禁じられています。

(参考:進んでいる世界の受動喫煙対策|e-ヘルスネット 厚生労働省

このような国々からやってきた人々にとって、「食事中のたばこの煙」は、なくて当たり前。他人が吸うたばこの煙に困惑するであろうことは、想像できます。外国人観光客の方には、やはり「全面禁煙の飲食店」の需要は結構あるのでは、と思います。

今回、東京で禁煙のお店が増えた(と私が感じた)のは、外国人観光客が増えたことと無関係ではないでしょうし、今後オリンピックで海外からの訪日客の増加を見込むなら、「禁煙」を進めていくことは結構大きなテーマだと思いました。

日本の人々にとっても、健康を守ることにつながるので、よい方向性だと思いますし。

まとめ

全体として、私の中の古いイメージは、「海外からの旅行客に英語で話しかけられたら、避ける、逃げる、黙る」のが日本人……と思っていました。

(すみません……裏返せば、自分がそうだった、ということですよね)

でも、さすがに2020年のオリンピック開催地に決まった、東京。

色んな場面で、「英語慣れ」「外国人慣れ」を感じるところがありました。それはやはり、外国人観光客にとって、「訪れやすい」場所であることにつながっていくと思いました。

そもそも、海外から日本、特に東京へ来る外国人観光客にとって、楽しみとは何でしょうか?

私自身は、「食」「ショッピング」「歴史のある場所」ではないかと思います。

私はオーストラリアで時々、「日本に行ったことがあるよ」と声をかけられることがありますが、多くの人が「食べ物がおいしかった!」と言います。

実際に東京には、それはそれはたくさんの種類の食べ物やさんがあります!パースでは高いお金を出してやっと食べられるレベルの和食が、日本なら安く、おいしく食べられ、お店の数も桁違いに多い。これは海外の人にとっては楽しいでしょう。

また、ショッピングも本当に楽しい!日本は、雑貨でも服でも化粧品でも文房具でも、とにかく種類が多く、デザインが豊富で、品質もよく、しかも安い。アニメキャラクターの雑貨やおもちゃなど、見るだけでも楽しく、バラエティに富んでいる。海外の人にとって、東京でのショッピングはとっても楽しいと思います。

こうした小売店や飲食店、そして外国人観光客を迎えるホテルなどは、英語ができるスタッフを、よい待遇でどんどん雇っていくとよいだろうと思いました。

一海外在住者として、東京を訪れてみた感想です。

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