前回のブログ記事で、「LとRの発音が違うだけで全然違う意味になる」という、まぎらわしーい英単語を一挙に紹介しました。
実は、R と L 以外にも、日本人にとって言い分けが難しい発音って、色々あるんですね。
R と L の問題もそうかもしれませんが、日本人にとっては、「大して違うように聞こえない」という母音・子音でも、英語ネイティブの人にとっては「超ちがうー!全然ちがうー!」というふうに聞こえるのだと思います。
そして実際に、それがちょっと違うだけで、単語の意味が変わっちゃう。
文脈や状況から、間違ってもわかってもらえる場合は多々あります。が、長い目で見た時、特にそのような英単語については、発音の違いをしっかりマスターしたいなぁ、と思います。
今回は、「RとLの発音の違い」以外のもので、「とっても似ているけど、ちょっとの発音の違いで全然意味が変わっちゃう!」単語についてまとめました。
特に、私自身がオーストラリアで生活する中で、日常的によく使い、「言い分けが難しいな~(汗)」と思う単語を中心に集めています。もしかしたら、試験の発音問題などにも、知っておくと役立つかもしれません。
※カタカナで発音を書いている箇所もありますが、あくまで参考程度に考えてください。実際の発音は、発音記号を見ながら、電子辞書やウェブ辞書(Cambridge English Dictionary など)の音声などで確認してください。
※文中の発音記号は、基本的にイギリス英語表記です。
s と sh、似ているようで大違い!
1. see, sea と she
これは、超基本の単語。
see は、本当に最初の最初に覚える英単語ですよね。「見る」「会う」「理解する」……さまざまな意味があります。
こちらは、/siː/と発音します。「スィー」という感じでしょうか。
「海」を意味する sea も、同じ発音です。
一方、she は、「彼女」を意味しますが、こちらは /ʃiː/という発音です。しっかりと、頭の発音を「シ」で始めることが大切。
英語でがんばってしゃべっていると、意外と文の中で適切にshe を発音するのが難しいと感じます。つい、“And see said …” となってしまいがち(汗)。
2. sit と shit
これは結構有名だと思いますが、sit は、「座る」という動詞。
一方、shit は、「くそ」とか、特に相手をののしる時に使われる、ちょっと下品な言葉ですね(苦笑)。
でもこの言い分けが、意外にも日本人には難しい。
sit の発音は、/sɪt/。「スィット」という感じです。
一方、shit の発音は、/ʃɪt/。「シット」となります。
日本人にとっては、/s/ と /ʃ/ の違いは、何気ないものですが、英語ネイティブの人にとっては、この違いは大きいようです。
「ここに座ってもいいですか?」と聞きたい時に、
と言わないように要注意!
3. seat と sheet
これも、意外にも言い分けが難しい単語です。
seat は、車やバス、劇場などの「座席」という意味の名詞です。また、飲食店の「いす・席」だったり、待合室の「いす・座席」についても言います。
Please have a seat and wait until your name is called.
おかけになり、名前が呼ばれるまでお待ちください。
また、seat belt (=シートベルト)も、この seat です。
seat の発音は、 /siːt/です。「スイート」という感じ。
一方、sheet は、ベッドの「シーツ」のこと。洋式のベッドでは、マットレスの上に敷いていあるシーツと、その上にもう一枚シーツが重なっていて、その間に入って寝ますよね。通常、シーツはこのようにペアで使われるため、一般的に sheets と複数形で言われるようです。あえて一枚の布を言う場合は、a sheet です。
もう一つの意味として、「紙・用紙」のことを、sheet と言います。たとえば、 a test sheet(テスト用紙)、an answer sheet(答案用紙)などのように言います。
また、紙(paper)は不可算名詞(数えない)なので、a paper とか two papers とか言いません。その代わり、紙を数える時は、以下のように言います。
Can I have [ a sheet of paper / three sheets of papers ]?
用紙を1枚/3枚、頂けますか?
※または、a piece of paper ということもあります。a sheet of paper は、コピー用紙や書類作成などに使われる紙、a piece of paper は、大きさや形に関わらず「紙切れ1枚」というイメージで使われます。
sheet の発音は、/ʃiːt/です。「シート」という感じです。
私は、
とつい言ってしまいがちなので、注意したいです。
意外と難しい! th 発音
4. think と sink
think は、おそらく誰もが知っている英単語ですよね?「考える・思う」という意味の動詞です。
一方、sink は、「(主に水の中などに)沈む」という意味の動詞です。
think の発音は、/θɪŋk/ 。最初を舌を軽く噛んで息を出す /θ/ の音で始めます。人によっては、若干「ティンク」という発音になるかもしれません。
sink の方は、/sɪŋk/ という発音。舌をかまない/s/で始めます。「スィンク」という感じ。
この発音の違いを理解しないために、大変な誤解をしてしまった、というBerlitzのCM動画があります。
この主人公は、ドイツの沿岸警備隊の新人さん。まだ英語がうまくなくて、仕事も初めて。そんな時に緊急連絡が入ります。
“We are sinking …” と助けを求めているよう。これはたいへん!
その時、新人さんの応答は???
……という、ユーモラスで面白いCMです(笑)。
これを見たみなさんは、もう think と sink を言い間違えることはないのでは!?
5. thongs と tongs
thongs とは、以前以下の記事でも紹介したのですが、
特にオーストラリアでは、ビーサンのことを thongs と言います。日本語でも、ビーサン式のサンダルのことを、「トング」と言いますよね。これも、thongs から来ているのではないかと思います。(通常ペアで履くものなので、thong+s で使います)
また、似た言葉で、tongs というのもあります。これは、BBQで肉を焼いたり、氷をつかむ時に使う、あの挟む道具。日本語でも、「トング」と言いますよね。
でもこの二つ、英語では発音が異なります。
ビーサンの方の thongs は、/θɒŋs/ なので、やはり舌をかむ音で始まります。「トングス」と「ソングス」の中間みたいな音に聞こえます。
一方、ものを挟む tongs は、/tɒŋz/ 。頭をハッキリと、「トングズ」と発音します。
微妙ですが、最後の複数形sの発音も違うので、注意が必要です。
私はいつも、ビーサンのことを言う時、息子に「thongs だよ、tongs じゃないよ!」と、発音を注意されます(笑)。
6. bath と bus
どちらも、超頻出単語!
bath は、「お風呂」「シャワー」の意味ですが、発音は /bɑːθ/。「バーth」という感じで、「バー」と言いながら最後は舌を軽く噛んで、空気を出す音が聞こえる、という感じで終わります。
一方の bus は、日本語でも使われる、乗り物の「バス」ですが、発音は /bʌs/ 。短く「バス」とそのままいう感じに近いです。
どちらもたいへん身近なものだからこそ、正確に発音できるようにしたいです。
aw と ow、発音の違いわかる?
7. saw と sow
saw は、see (見る)の過去形(見た)を表す英単語です。これは多くの人が覚えているでしょう。また、「のこぎり」という意味もあります。
一方、似たような単語で、sow というのもあります。こちらは、「種を蒔く」という動詞です。
saw は、/sɔː/ と発音します。 「ソー」という感じです。母音は普通に「オー」と伸ばすイメージ。
sow は、/səʊ/ と発音します。「ソウ」という感じで、母音の終わりをしっかりと「オゥ」と言います。
私自身ガーデニングが好きなのと、オーストラリアではよくガーデニングの話題が登場するので、sow という単語も覚えました。
8. law と low
law は、前回のブログ記事(RとLの発音の違いで、全然違う単語になる!要注意な英単語集)でも出てきました。「法」「法律」という意味です。
でも、low という単語もあります。こちらは、「低い」という意味の形容詞で、やはりたいへん日常的に使われる英単語ですね。a low voice(低い声)、low pressure (低気圧)、low body temperature(低体温)などなど、組み合わせても使われます。
この二つの単語、発音の違いは?
law は、/lɔː/ という発音になります。「ロー」と最後をそのまま伸ばす感じ。
low は、/ləʊ/ という発音になり、「ロゥ」というふうに最後のゥをしっかりと発音します。
まぎらわしいですね~。
「私は法律のオンライン講座を受講しています」と言いたいところを、
と言ってしまわないように、気をつけましょう!
9. raw と row
こちらもまぎらわしい!
raw は、やはり前回のブログでも出てきましたが、「生の」という意味の形容詞です。
一方、row という単語もあります。こちらは、「列」という意味の名詞。a row of apple trees(リンゴの木の列・並木)、a seat in the first row(一番目の列の席)など。
また、columns and rows(行と列)のように、表の『列』も表します。Excel などでおなじみかも?
raw の発音は、/rɔː/ 。やはり母音は、「オー」という感じで伸ばします。
row は、/rəʊ/ という発音になり、母音はしっかりと「オゥ」と発音します。
a front-row seat というと、「最前列の席」という意味ですが、a front-raw seat と言ってしまいそう!
気をつけたいものです。
とにかく似ているけど、違う!
10. horse と hose
horse は、「馬」ですよね。
一方、庭に水をまく時などに使う、ホースは?こちらは、hose です。
つづりもすっごく紛らわしいですが、発音をどのように言い分けるか、わかりますか?
「馬」の horse は、/hɔːs/ という発音です。どちらかというと、日本語風の「ホース」に近いかな?
一方、「ホース」の hose は、/həʊz/ という発音。「ホゥズ」という感じです。母音をしっかりと「オゥ」と発音し、最後は「ズ」。
hose は、こちらで生活していると、結構よく使う日用品です。ホームセンターで「ホース探しているんですが。」と聞きたい時、正しく発音しないと、「馬探してるの?」とびっくりされてしまうかも。
11. desk と disk
こちらも、結構まぎらわしい単語です。
desk といえば、「机」のこと。
一方、disk という単語もあります。こちらは、コンピュータに使われるデータが入っているデバイスのこと。日常生活では、CDやDVDのことを disk と言うこともあります。「ハードディスク」のディスクも、disk です。
発音の違いとしては、
desk は、/desk/。「デスク」って感じですね。頭は「デ」です。
disk は、/dɪsk/。「ディスク」という感じになります。
どちらも、発音そのものがすごく難しい、というわけではありませんが、意識して覚えておかないと、結構混乱しがちです。
12. rug と rag
rug は、「敷物」や「じゅうたん」のことです。日本語でも「ラグ」って言いますよね。
一方、rag という単語もあります。こちらは、「ぼろきれ」「ぼろ布」のことを言います。
たとえば、ホームセンターでは、洗車やハウスクリーニング用に、rag の詰め合わせが売っていたりします。
また、DIYのインストラクションで、必要な道具に rag と書いてあったりします。
発音の違いは、というと……。
「敷物」の rug は、/rʌɡ/。 「ラッグ」というイメージです。
「ぼろ布」の rag は、/ræɡ/。「ラぇーグ」(うまく書けないけれど)という雰囲気。
母音の発音をしっかり変えないといけません。
どちらもホームセンターで売っているし、生活の中で身近なものなので、ちゃんと言い分けられるようになりたいです。
13. first と fast
これも、どちらもすごく基本的な単語だけど、発音を正しく区別するのが難しい!
first は、「1番目の」「第一の」という意味を表す単語ですね。
一方、fast は、主に「(速度が)速い」という意味の形容詞です。
気になる発音ですが……。
first の方は、/fəːst/ と発音します。「フゥァースト」という感じで、「アー」は舌を口の空間の中に置いて発音します。ちょっとこもったような感じの音になります。
fast の方は、/fɑːst/ です。「ファースト」と、母音はハッキリと「アー」と発音します。(これはイギリス英語発音で、アメリカ英語の場合は、/fæst/ となります。アの感じが結構変わるので注意ですね。)
どちらも学校で必ず習う単語なので、発音問題に出るかもしれません。
まとめ
紹介した英単語を、一覧にまとめてます。
s と sh の違い | |
---|---|
see, sea (/siː/) | she (/ʃiː/) |
sit (/sɪt/) | shit (/ʃɪt/) |
seat (/siːt/) | sheet (/ʃiːt/) |
th の発音 | |
think (/θɪŋk/) | sink (/sɪŋk/) |
thongs (/θɒŋs/) | tongs (/tɒŋz/) |
bath (/bɑːθ/) | bus (/bʌs/) |
aw と ow の違い | |
saw (/sɔː/) | sow (/səʊ/) |
law (/lɔː/) | low (/ləʊ/) |
raw (/rɔː/) | row (/rəʊ/) |
その他 | |
horse (/hɔːs/) | hose (/həʊz/) |
desk (/desk/) | disk (/dɪsk/) |
rug (/rʌɡ/) | rag (/ræɡ/) |
first (/fəːst/) | fast (/fɑːst/)(/fæst/) |
ちょっとした発音の違いで、別の意味の単語になってしまう……。今回紹介したものは、わりと日常生活でも使われることの多い単語です。
他にもこのような英単語はいくつもあると思うので、気が付いたらまた書き足して行こうと思います。
私自身の経験では、やはり「自分の発音が不正確」だったり、「細かい発音の違いを聞き取れない」ために、コミュニケーション・ミスをしてしまうこともあります。
とはいえ、たいていの場合は、前後の文脈やシチュエーションがあるので、それから読み取れることも多いです。これらが言い分けられないと、ゼッタイにダメ!というわけではないです。
間違いに気づいた段階で、訂正すればいいんだし。
ただ、単語の発音の違いは、「知っている」か「知らないか」だけのことなので、正しい発音を知ってさえいれば、現実に英語で話す場面で、より戸惑わずにすみます。
これからもしっかり練習していきたいな、と思います!
また、発音については、以下の過去記事もおススメです。英語ネイティブによる発音のインストラクション動画も、記事中で紹介しています。