英語を話せるようになるために、皆さんはどんな勉強をしていますか?
日本には、英会話スクールがたくさんあります。
テキストもたくさんあるし、「こうすれば英会話が上達する!」という本もたくさんあります。
そもそも、日本では小学校高学年から中学生の頃には、学校教育で英語は必修科目になっており、少なくも高校卒業まで、英語は誰もが習います。
それなのに、なぜ私は英語がしゃべれないんだろう・・・?
高いお金を払って英会話の教材をやってみても、英会話スクールに通ってみても、イマイチ上達した気がしない・・・。
・・・私は英語ができないタイプの人間なんだ。(ため息)
と思ってしまっている人も、中にはいるかもしれません。
でもその前に!!
考えてほしいことがあります。
私自身がオーストラリアに来てから英語を学び始め、その中で英語の勉強内容そのものよりも重要だ、と思ったことを、今回は書こうと思います。
私はなぜ英語を話したかったか。
私自身の経験を書きます。
オーストラリアに来た当初、私は本当に英語がしゃべれませんでした。単語はある程度知っているから、どこに行っても、とにかく単語でしゃべっていました。
“Thank you.”
“Sorry.”
“Hello.”
“bye.”
“See you.”
あとは、買い物に行って、お店に人に何か言われたりして、
“Yes.”
“No.”
“Good.”
“OK.”
または、
“How much?”
“Where is a toilet?” ← 子どもがよく「トイレ行きたい」というので、しかたなく覚えた
というくらいですかね?
最初はこれでも、「あーがんばってしゃべった!」と思っていました(笑)。
まあ正直、単語を並べるだけでも、意味はある程度通じます。パースの人達は優しいし、旅行者や移民にも慣れているから、結構こちらの意図を察して対応してくれるんです。文法とかグダグダでも、それなりに何とかやっていくことはできると思います。
私も最初は、それで、がんばってやっている気でいました。
でもしだいに、それではダメだ!と思うようになりました。最もそう思ったのは、子ども達の学校の先生や、クラスメイトの親達とコミュニケーションを取らなければならない時でした。
英語ができなくて、自分自身が困るなら、それは仕方がない。
でも母親である私が英語ができないために、学校からの連絡がきちんと理解できなかったり、先生とやり取りがしっかりできなかったせいで、子どもが学校で不利益を被ってしまうのは、自分で許せなかったんです。
子ども達も、パースに来た当初は、英語なんて全然できませんでした。
特に当時小学6年生だった長女は、まったく英語がしゃべれないし理解できない中で、こちらの学校に通い始めました。彼女は毎日、どうしたらよいか、ぜんぜんわからない。
そんな状況で、もし学校で娘に何かトラブルがあった時も、私が事情の説明も意見を言うこともできなければ、娘を守ってやることもできない。
私がしっかりと先生とコミュニケーションを取り、サポートしてあげなくちゃならない、と思いました。そのためには、私が英語を話せなければ・・・。
高度な英語でなくてよいが、社会の中で大人として、一般的な、けれど適切なコミュニケーションを取れる程度の英語力が欲しい!と痛切に思いました。
私は、学校からのお手紙を辞書を引きながら読み、単語を覚えていったり、地域で無料配布されているコミュニティ新聞を読んで、地域でよく使われる単語や言い回しを覚えたりしていきました。
そうして、自分で学んでいくと共に、パースシティにある英語教室に通い始めました。
私は最初にその先生に会った時、「なぜ英語を学びたいの?」と聞かれました。
私は、先に考えた通り「学校の先生や親達とコミュニケーションを取るために、英語を話せるようになりたい!」と言いました。
そこで、先生は私がどんなシチュエーションで英語を必要としているか、を理解してくれました。
それ以降、先生の元で習ってきたことは、振り返ると広く一般的に必要な英語の文法・語彙の知識、表現の訓練でしたが、先生が「こういう場面で必要な表現だよ」と言ってくれると、私は自分自身がそれを使う場面をハッキリとイメージすることができました。
だから、私にとって文法や単語を覚えることも、だたの「暗記」ではなく、自分の生活をラクにしていくツールを手に入れることと等しかった・・・だから全然苦ではありませんでした。
さらに、それを使えるように繰り返し練習していけば、話せるようになる、とその先の進むべき道筋がしっかり見えていたので、時間はかかっても自分なりに上達していける、と思うことができました。
学校で習う英語では話せるようにならない理由
日本の学校教育では、最低でも6年以上は英語を学習しているのに、なぜ多くの日本人は英語が話せないのか?
私自身が、こちらで英語を学んでみて思ったことは、「日本の学校の英語教育は、受験で点を取るための勉強なんだな。」ということです。
このことについては、さらに詳しくこちらの記事で書いています。
学校で英語を学ぶ子ども達の最終目標は、なんでしょうか?
・・・受験で高得点を取ること。
ですよね???
特に日本の試験では、習ったスペルや文法を正確に覚えていること、また、英文を正確に日本語に訳すこと、が要求されますし、得点につながります。
だから、学校や塾では、それを満たすような勉強をするのです。
公立学校の英語教育は、その大義はどうであろうと、実質『英語でコミュニケーションを取るための学習』ではないといえます。
一方、「英語を話せるようになりたい!」と望んでいる人のほとんどは、「英語でコミュニケーションできるようになりたい」と思っているのではないでしょうか?日本語がわからない世界の人とも、英語なら、わかりあえる可能性が広がる、と考えているのではないでしょうか。
そもそも、英語を学ぶ目的が違う・・・これが、学校の勉強では英語が話せるようにならない理由です。
(ただ、学校で習ったことがまったく無意味だとは思いません。いざ英語を本当に話したいと思った時に、学校で習ったコトの、何をどう生かせばよいのか、わかってくる時はあります。)
どんなシチュエーションで英語を話したいのか、をイメージする。
では、改めて「話すための英語」を勉強したい、と考えた時に。
次にすべきことはなんでしょうか?
なぜ、英語が話せるようになりたいのか?を、考えることが大切です。
漠然と、
「英語ができるようになりたいなぁ。だって、英語が話せたら便利だから/かっこいいから/将来に有利だから/万が一の時に役に立つかもしれないから」
・・・と考えている人も多いかもしれません。
でもそれでは、漠然としすぎています。
英語を必要とするシチュエーションはたくさんあります。
先に書きましたが、私の場合は、子どもの学校の先生や親達と適切なコミュニケーションを取りたい、ということが第一目的でした。それに伴って、生活全般のこと、たとえば日々の買い物、家を借りている不動産屋との会話、隣人とのコミュニケーション、などがまず必要でした。
英語を話したい相手が、自分の中で明確でした。
自分の中で「英語を使って何をしたいのか?どんな場面を解決したいのか?」という目的がハッキリとしていれば、そのシチュエーションに必要なことを学習していけばよいのです。たとえば英語の個人レッスンなどを受けたとしても、学ぶ側の目的が明確になっていれば、先生も的を絞って教えることができます。
「英語がうまくなりたい」というだけでは、ぼんやりしすぎるのです。『英語』といっても、それはそれは範囲が広い。
「英語ができるようになることで、何を達成したいのか」を考える必要があります。
よく「日常英会話」と言いますが、それだって色んな場面があり、それによって必要となる単語やスキルも違ってきます。
たとえば、
【海外旅行で話したい】
おみやげを買う、レストランで食事する、ホテルに泊まる時に必要なことを言う。など
【日本に来た外国人に日本のことを案内したい】
道や交通機関の説明。日本の文化やルールを説明する。など
【外国人の親戚・友人と親交を深めたい】
挨拶をする。相手や家族の状況を聞いたり、互いの住む地域や国の話をする。など
【海外で仕事を得たい】
自分のスキルを紹介する。相手が出す条件を理解して交渉する。具体的な契約をする。など
【子どもやその親とコミュニケーションしたい】
子どもに合わせた話題や言葉を話す。子どもの成長、学校、家族についての話をする。など
・・・などなど、場面を想定して見れば、それによって英語を使って話すテーマも違ってくることが、なんとなくでも想像できると思います。
さらに、仕事の場面に適した英語(ビジネス英語)、英語圏の大学で学ぶための英語(アカデミックな英語)、翻訳のための英語、などなど、さまざまなジャンルがあります。
それぞれによって、必要とされる英語の知識やレベルも異なります。仕事の内容によっても、要求される言葉やレベルは、違ってきます。
「英語が話せるようになりたい」、と思ったら、自分が最も英語を話したいシチュエーションを考えてみることが大切です。たとえ今現在は具体的な予定がないとしても、自分がなんのために、どんな英語を使えるようになりたいのか、をイメージしてみることです。
そして、それに適した勉強法や、教材や、先生を選ぶとよいのではないでしょうか。
まずそのジャンルから英会話を覚えていき、その中で英語の基礎的な知識を固めたり、分野を広げていくことによって、どんどんスキルアップしていけるはず!
適切なスタート地点に立つことが大切だと思います。