私はオーストラリアに住む中で、幸運にもネイティブの英語に触れる機会が多くあります。
英語を知れば知るほど(と言ってもまだまだですが)、日本語と英語の違いというのは、ただ「発音」や「文法」や「単語」が違うだけでなく、「言葉で表現する」ことそのものに対する考え方や感覚が違うんだなー、と思う事もあります。
日本語と英語の表現の違いというのは、そうした感覚の違いとも密接に関わっていると感じて、興味深いです。
私が英語に触れるようになり、まず最初に「英語らしいなー」と思ったのが、because という単語です。
なぜなら、英語で話す人たちは、本当によく自分の意見や体験を述べる時、because~, because~、、、と使うので。
日本語では、「なぜなら~だから」なんて、会話の中であえて言うことは少ないと思います。
でも私個人的には、「話すための英語」を学びたい人に、ぜひ because はマスターした方がいい!と言いたいです。
今回の記事では、英語を話す時にすごくよく使われる、because の使い方を説明しようと思います。
becauseの意味と基本的な使い方のルール
まず、基本的な because の意味と使い方について。
◆because
because は、文と文をつなぐ働きをする単語(接続詞)で、「(なぜなら)~だから」という理由を表す意味があります。
使い方としては、
“We can’t go to Julia’s party because we’re going away that weekend.”
ジュリアのパーティには行けない。なぜなら、その週末、私達は出かける予定だから。
前の文に対し、”because ~ ” を続けることで、その理由を付け足します。
because の後に続くのは、「主語 + 動詞 (+目的語)」という文が来ます。
◆because of
また、because of ●● という形で使われることもあります。
この場合も、前に来る文に対し、理由を付け足す役割があります。
ただ、because of の後に来るのは、文(主語+動詞)ではなく、名詞です。
“The flight was delayed because of bad weather.“
悪天候のため、フライトが遅れた。
because や because of は基本的に、前に出てきた文に対し、その理由を補足する役割で使われます。
◆Why? に対する答えのBecause
もう一つのごく基本的な使い方としては、“Why ~ ?”(なぜ~なの?) と理由を問われる質問に対し、答えを “Because ~.” (「なぜなら、~だから。)と明確に答える時に、文頭に用いられます。
A:”Why do you like your best friend?”
B:”Because he is funny and makes me laugh.”
「なぜあなたは自分の親友が好きなの?」
「彼は面白くて、私を笑わせるから。」
会話の中でbecauseはどう使われる?
日本で、たとえば学校教育の中で英語を学ぶ時、becauseは「主節内容の理由・原因を述べる」等という説明で覚えると思います。
でもそういわれると、なんだか難しいような気がしちゃいますよね。
実際には、英語ネイティブが話す会話の中では、どんな時にどんなふうにbecauseが使われるのでしょうか?
because は、英語の会話の中では本当によく使われます。
正式なスピーチ、カジュアルな会話、に関わらず。
そしてまた、口語であろうと、エッセイや論文のライティングであろうと、使われます。
そのくらい、「because なしには英語は話せない!」と思うくらい、とても重要な単語です。
実際にどのように使われるか、というと・・・
“I like Thai cuisine because I like spicy food.”
私はタイ料理が好き →(なぜなら)私は辛い食べ物が好きだから。
“I think she will win this competition because she has worked really hard.”
私はこのコンペで彼女が勝つと思う → (なぜなら)彼女は本当に一生懸命準備してきたから。
“Sorry, I can’t do it now because I have to finish this first.”
ごめんなさい、今はそれはできません → (なぜなら)こっちを先にやらないといけないから。
こんなふうに、英語では、とにかく「最初に簡潔に結論や意見を言う」という傾向があります。
たとえば日本語だと、
「どこの国の料理が好き?」と聞かれた場合、どう答えますか?
「私、辛い食べ物が好きなんだよね、だからタイ料理かな~。」とか?
あるいは簡単に、「タイ料理ですね。」、とか・・・?
でも英語では、「どこの国の料理が好き?」と聞かれた場合、真っ先に答えを言うのが通常のスタイルです。だからまず、“I like Thai cuisine” と、直球で自分の意見を言うのです。
でも、さらに英語では、自分の意見に対してその理由を付け足す、ということが、感覚的にごく普通です。理由といっても、必ずしも、取り立てて重大な事柄ではありません。
英語の世界では、自分の言ったことに対して、“because …” と理由を付け足すことが、一つの常識?のような感覚だと思います。
子どもの時からそう練習する
このような「英語の特徴」は、よく日本人と英語圏の人々の「文化の違い」「感性の違い」等と言われます。
しかし、これは生まれつき自然とそうなった、、、というわけでもなく、英語圏ではそういう教育をされているのだ、と私は思います。
私の子ども達は、現在西オーストラリア州の公立学校に通っていますが、学校の学習の中で、自分の意見の言い方、というのを基礎として身につけていきます。
たとえば、「自分の好きなおもちゃについて説明する」というテーマがあり、
・そのおもちゃは何か
・どこでいつ手にいれたのか
・なぜそのおもちゃが好きなのか(I like it because ~.)
を必ず含めるよう、指示されます。
内容そのものは問われないので、これらのポイントを含めながら、自分のことについて述べていく、という練習を低学年のうちからしていきます。
あるいは、自分の行動や決断に対し、理由を述べる。。。という場合も、英語ではとてもよくbecause が使われます。そしてまた、becauseを使って理由を述べる、ということは、一歩複雑で高度な文が作れるようになった、と評価されます。
英語圏の人達は、小さい時からこのように訓練されているのですね。
だから何か自分の意見を言う時は、ごく自然に”because …”をつけるのだ、と思います。
because を会話の中で使いこなそう
このように、もっとも基本的なbecause の使い方は、まず会話の中でメインとなる意見や事実を簡潔に述べた後、それを理由づけするために使います。
「日本語で『なぜなら~だから』だから・・・」と訳して考える必要はありません。
逆に言えば、まず結論を言い、その理由を後からゆっくり(?)考えて付け足すこともできる、便利なつなぎの言葉でもあります。
独学で練習するとしたら、もっとも簡単で、しかも日常会話でもよく使われるパターンとして、
“I like ●●(物) because ~.”
私は●●が好きです。なぜなら~だから。
“I want to ●●(動詞) because ~.”
私は●●をしたいです。なぜなら~だから。
“I did ●●(名詞) because ~.”
私は●●をしました。なぜなら~だから。
といった、自分の意見や過去の行動を述べることと、その理由づけをする、という練習をしてみてはどうでしょうか?
例文)
“I like coffee because it makes me feel relaxed.”
私はコーヒーが好きです。なぜならコーヒーを飲むとリラックスできるから。
“I want to watch that DVD because everyone says it’s interesting.”
私はそのDVDが見たい。なぜなら皆が面白いと言っているから。
“I went to the beach yesterday because it was really hot.”
私は昨日海へ行きました。なぜなら本当に暑かったから。
英語での「意見の述べ方」に慣れていくことも、英語を効果的に話す上で助けになるかと思います。
まとめ
ちなみに、because とは逆の順番で、理由を説明した後、「~だから、~だ。」と言うこともできます。
この場合は、so を使うのが口語表現としては最も簡単です。
“It was really hot yesterday, so I went to the beach.”
昨日は本当に暑かった、だから海へ行った。
so の代わりに and because of that, も使えます。
が、日常会話の中では、so が一般的かと思います。言うのも簡単だし。
because は日常会話の中で本当によく使われる「つなぎの言葉」です。
大した理由もないのに、because ~ なんてわざわざ言うのもなぁ、と最初は思うかもしれません(笑)。ですが、英語ではそれをつける方が自然に聞こえるのだと思います。どんな理由をつければいいのか・・・?それも慣れてくると、思いつくようになってきます。
ちょっとした日常会話の中で、むしろ話の流れを途切れさせず、相手とのコミュニケーションを盛り上げるために、because をうまく使えるようになりたいですね!