日常的な、ごくカジュアルな英会話では、文法を厳密に気にしなくても、通じることの方が多いです。
そもそも日本の学校教育では、とにかく文法やつづりが完璧でないと「点が取れない=英語が苦手」というレッテルを貼られてしまいます。
そのため、いざ英語を話そうとしても、一つ一つの文法間違いにあまりに気をとられてしまい、その結果自信を失い、「英語を話す」ということに至らない・・・
多くの人が、そこで止まってしまっているのかな、と思います。
そんなわけで、私はこのブログを通じて、「完璧な文法を目指すより、目指しつつも、間違ってもいいから英語を口にする」ということの大切さを伝えたい、と思っています。
ですが、文法と言っても非常に幅広く、やはりしっかりとマスターしなければ意図が伝わらない、というたぐいのものもあります。
「文法」とは言葉のルールですから、当たり前ですよね。
そういう、重要性の高いものから優先して、しっかりと覚えていく必要があります。
今回は、英語の口語でも非常によく出てくる、shouldという単語について、取り上げようと思います。
特に、would, could など、他の助動詞との使い方の違いがわからない・・・と方に、私がオーストラリア・パースで学んで目からウロコだった、非常にわかりやすい覚え方を説明します。
【必要性の度合い】で覚える・・・その意味は?
shouldは日本語では「~すべきだ」「~した方がいい」等と習います。
ですが、いくら日本語の訳を覚えたとしても、
・どんな場面で should を使えばいいのか?
・shouldがつく場合と他の助動詞がついた場合で、どうニュアンスが違うのか?
などなど、ハッキリと使い分けの判断をするのは難しいと感じるかもしれません。
では、英語ネイティブの人は、shouldをどんな時に使うのか?どんな判断基準で使うのか?
ということについてですが・・・。
物事には、「~しなければならない」「~でなければならない」というようなことを言いたい時があります。
そうした「~しなければならない」度合、つまり、物事の『必要性』の度合いを表す言い方が、英語にはあります。
この「必要性の度合い・強さ」によって、以下のように言い方を使い分けます。
1.必要性100%
つまり、もっとも強い「~しなければならない」。「必ず~でないといけない」というような時は・・・
・have to
・have got to(カジュアルな話し言葉で使われる)
・must
を使います。
“You have to buy your ticket when you go on a bus.”
バスに乗る時には、(必ず)チケットを買わなければならない。
“I couldn’t go shopping because I had to stay home all day yesterday.
昨日は一日家にいなければならなかったので、買い物に行けなかった。(過去)
“You must do your homework right now.”
(あなたは)今すぐ宿題をやらなくちゃいけない。
2.必要性80%くらい
「~しなければならない」という必要性がゼッタイではない。。。けれど、8割くらいの強さの必要性を伝えたい時は・・・
・should
・had better
を使います。一般的には、shouldが多く使われます。
“You should watch that film.”
あの映画は見た方がいいよ/見るべきだよ。
“I think you should see a doctor. You might have the flu.”
あなたは医者に行った方がいいと思うよ。インフルエンザかもしれない。
※have to や must は必ずそうしなくてはならない、という理由や事情があることを示します。それに対して、should はそこまで強くないが、それでも必要性はかなり高いという意味合い。
→ 日本語にするなら、「するべき」とか「した方がいい」みたいな訳になるわけです。
ちなみにhad betterを使うと・・・
“You had better do your homework right now.”
いますぐ宿題をやった方がいいよ。(さもないと、後で忘れるよ。)
※should の代わりに had betterを使うと、「そうしないと…何か困ることが起きる」みたいなニュアンスを含む。
3.必要性50%
「やってもやらなくても、どちらでもよい」という、半々くらいのニュアンスを示す時は・・・。
を使います。
“You can come, if you like.”
もし来たいなら、来てもよいです。
“You can do your homework now.”
今宿題をやってもいいよ。(今やらなくてもいい)
4.必要性0%
完全に「~をやる必要はない」「やらなくていい」時。そんな時は・・・
・don’t have to
・don’t need to
を使います。
“You don’t have to call me if you can come to the meeting tomorrow.”
明日ミーティングに来られるなら、私に電話しなくていいですよ。
“You don’t need to do you homework now.”
今宿題をやる必要はないよ。(= 今はやらなくていい。)
ちなみに・・・
5.必要性 -100%
つまり、「~であってはならない」「~してはならない」という時。
「~しなければならない」の全否定ですね。こんな時は・・・
・mustn’t (must not の省略形)
・can’t
を使います。
“You mustn’t do your homework now, because you have to pack away your toys first.”
今は宿題をやっちゃダメ。おもちゃを先に片づけなくちゃいけないでしょ。
“You can’t drink alcohol if you are under 18.”
18歳未満の人は、お酒を飲んではいけない。(筆者注:オーストラリアでは18歳から成人)
実際に、こちらのローカルの英語の授業でも、小学生の子どもに対し、こうした「必要性(necessity)」の強さに応じてこう表現をする、、、と対応させて教えています。
私自身は、パースで英語を習ってきたネイティブの先生に、やはりこのように教わりました。
ところで、shouldは過去形?
もう一つ、混乱しやすいのが、
「should は shall の過去形」
と習うことだと思います。
実際は、日常的に使う英語の中では、shouldは以上で説明したように「必要性が高い」ことを表す時に使うのがほぼ100%。
過去のことではなく、今現在のことを表します!
まずはこの使い方をマスターするのが、最も大切だと思います。
また、shallという助動詞も、私の感覚では日常会話で出ることはほとんどありません。
最もよく使われるとしたら、
“Shall I open the door?”
ドアを開けましょうか?
などのように、~しましょうか?と申し出るようなケースです。
確かにこれを過去形にすると、shall → should になる・・・というわけですが、Shall I ~?を過去形で言わなければならない場面は、日常会話の中ではほとんど出て来ませんし、学習の優先度は低いと思います。
というわけで、会話の中で使うことをまず考えた場合、shouldとshallはとりあえず別のものとしてとらえてよいと思います。
「~すべきだった」、shouldを過去形で言う場合は?
“You should watch that film.”
あなたはあの映画を見るべきだよ。
これは、今現在「見るべきだ」ということを言っています。
では、「見るべきだった」は・・・?
となります。
「~べきだ」を「~べきだった」と過去形にしたい時は・・・
とすることで、過去のことを表すことができます。
ただし、注意事項。
“You should have watched that film.”
という文は、「あなたはあの映画を見るべきだった」という過去のことになりますが、これはつまり、「(たとえば)今はもう映画は終わってしまった→見るべきだったのに、あなたは映画を見なかった」
というような感じになります。
should を過去形(should + have + ~ed)にすると、
「~すべきだった」→「なのに、(今現在の事実として)しなかった」
という意味が暗に含まれることに、注意です。
まとめ
何かについて、「必ず~しなければならない」「必ず~でなければならない」という必要性を表す時、その段階に応じた表現方法がある、ということを今回は説明しました。
shouldは、その中で使われる表現の一つです。
日本語の対訳に置き換えて考えるよりも、「~しなければならない」という必要性の度合いをイメージして、以下のように考えると、どんな場合にshouldが使われ、またどんなニュアンスを表しているのか、がすんなりと理解できます。
必要性の度合い (~しなければならない) |
英語表現 |
---|---|
100% | have to
have got to(カジュアルな表現) must |
80% | should
had better |
50% | can |
0% | don’t have to
don’t need to |
-100% | mustn’t
can’t |
オーストラリアのローカル校で、私の子どももこのように習ってきました。
実際に英語ネイティブは、このように量的なイメージで英語を使い分けているのですね。
日本人も、まずこのような感覚を学び、細かい部分について日本語で理解を補強していくと、よりスムーズな学び方ができるんじゃないか、と思います。