英語のセンテンスを組み立てる時、「主語+動詞+目的語」が最も基本の、骨組みのようなものになります。(さまざまな例外はあるものの)これがきちんとあれば、最低限、英語の文として意味が通じるものになります。
しかし、実際に表現として英語でさまざまなことを伝える時、それ以外にもニュアンスを付け足したいことはよくありますよね。
たとえば日本語でも、何かを人に薦める時、「~はおすすめです。」というだけじゃなくて、「本当におすすめです。」「まあまあおすすめです。」「基本的にはおすすめです。」「個人的にはおすすめです。」「絶対におすすめです。」などなど……。こうした言葉が入るだけで、表現の幅がぐっと広がりますよね。
こんなふうに、「どんなふうに」「どれくらい」といった様子や情報を付け足したい時に使われる単語が、文法的には『副詞』といわれます。
以下の過去記事では、「本当に~だ」「確かに~だ」「基本的には~だ」など、会話でよく使われる副詞を紹介しています。
また、センテンスに「たぶん」「おそらく」などの曖昧さを付け足したい場合もあります。そんな意味を表す副詞も、英語表現の中ではよく使われます。
以下の過去記事では、そういうニュアンスを出したい時に使える副詞と、その使い分けを紹介しています。
他にも、always(いつも)、usually(たいてい)、often(よく、しょっちゅう)、などの『頻度』を表す言葉もよく使われますが、これらも副詞ですね。
また、just(まさに、ただ), only(~だけ), なども副詞として使われます。
他にも色々とありますが……。
このように、英語を話す時・書く時、副詞を入れることで表現がより豊かになり、より自然な英語に近づきます。
私自身は、オーストラリアに来て英語を学び始め、最初は基本の文型を使うだけで精一杯でした。その後、少しずつ慣れてくると、今度は「副詞を文の中に取り入れたい」と思いました。
ところが……。「副詞は文のどこに入れたらいいの???」というのが、次の大きな疑問でした。
たとえば、訪れた場所がとても素晴らしくて、「私、絶対また来るよ!」と言いたい時……。
- I will definitely come again …?
- I definitely will come again …?
- Definitely I will come again …?
- I will come again definitely …?
‘definitely’ の位置は、どこが正しい?どこが一番ナチュラル??? ということを、いつもよく迷っていました。
でも、特に会話の場合、そうやって迷っているとタイミングを逃してしまうんですね。それが難しかったです。
副詞の場合、そもそも文の中に入れる際の、「適切な位置」というものはあるんでしょうか?
もしあるなら、副詞の位置に関するルールとは?
……ということについて、今回はまとめたいと思います。
基本の基本、「副詞+形容詞」の使い方と位置
副詞の基本的な使い方としては、形容詞を修飾します。たとえば、
It’s hot. (暑い。)
↓
- It’s very hot.(とても暑い。)
- It’s extremely hot.(ものすごく暑い。)
- It’s pretty hot. (結構暑い。)
このように、hot の前に very, extremely, pretty を付けることで、hot(=形容詞)の表現の幅が広がります。これが副詞の役割です。 この場合、「副詞は修飾したい形容詞の直前」に来ます。 このような使い方をする副詞は、基本的なものでは以下のものがあります。(もちろん他にもありますが)
とても | very, extremely |
そこそこ、結構 | quite, pretty, fairly |
明らかに、まったく | absolutely, totally |
完全に | completely |
わずかに | slightly |
※pretty, quite, fairlyのニュアンスについては、こちらの過去記事で解説しています。
例文)
It is quite surprising.
それは結構驚きだね。
My left eye is slightly red.
私の左の眼が少し赤い。
副詞が動詞や文全体を修飾する場合、副詞の位置は?
より複雑、かつ用途が広いのが、「動詞」や「文全体」を修飾する『副詞』です。
先に挙げた「形容詞」を修飾する場合とは違い、単純に「~の前に入れればいい」と言うことができません!
けれど、それなりにルールがあります(笑)。
まず、文の中で副詞が入るポイントは、ざっくり分けると以下の3か所になります。
(1)文全体を修飾
文頭に来るのは、主にセンテンス(文)全体を修飾するパターンです。
自分の視点、立場、主観、判断などを明確にしたい場合に、副詞を文の先頭に置いて強調します。
例文)
Personally, I think this is a good place for families.
個人的には、ここは家族連れに良い場所だと思う。
Generally, we don’t have much rain in Perth in summer.
概して、夏にはパースではそれほど雨が降らない。
Unfortunately, Mike was out when we called.
残念なことに、私達が訪ねた時マイクは外出中だった。
(2)頻度、程度・焦点、推量
文の中に副詞が来る場合もあります。このパターンは、少し複雑です。
この場所に来る副詞の種類としては、主に、
頻度を表す | always(いつも)/ often(よく)/ usually(たいてい)/ sometimes(時々)/ occasionally(たまに)/ never(決して~しない) など。 |
程度・焦点を表す | just(まさに・ただ)/ only(ただ~だけ)/ really(本当に)/ completely(完全に)/ totally(まったく)/ almost(ほとんど~しそうだ)/ generally(概して)/ especially(特に)/ simply(単に) など。 |
推量を表す | probably(たぶん)/ perhaps(もしかしたら)/ possibly(もしかしたら)/ certainly(確かに)/ definitely(確かに) |
※推量の副詞についてよく知りたい方は、詳しくはこちらの過去記事をお読みください!
副詞が文中に入る場合、位置は基本的に「動詞の直前」になります。
しかし、普通の動詞でなく、be 動詞(am, are, is, was, were)の場合は、「be 動詞の直後」になります。 ちょっとややこしいですが、このルールは覚えてしまいましょう!
例文)
I usually go on a trip during my holidays.
私は、ホリデーの間は、たいてい旅行に行きます。
He is sometimes late for school.
彼は時々学校に遅れて来る。
I just wanted to know why you were so upset.
私はただ、あなたがなぜそんなに怒っていたのか、知りたかっただけだよ。
I completely agree with you.
完全にあなたに同意します。
She is absolutely right.
彼女は明らかに正しいね。
ところで、英語は常にこのようなシンプルな文ばかりとは限りません。
You can call me if you need help.
↑このように、「can+動詞」などの文に ‘always’ を入れる時、どこに入れる???
ということについては、後ほど解説します!
(3)どんなふうに
動詞の「どんなふうに」を説明する、というのも、副詞の大きな役割の一つです。
この場合の副詞は、基本的には文末に来ます。
例文)
He always finishes his job properly.
彼はいつも仕事をきちんと終わらせる。(always は (2)のパターン)
Read the questions carefully.
質問を注意深く読んでください。
They sing really beautifully.
彼らは本当に美しく歌う。
上の例にある、“really beautifully”=「本当に美しく」のように、「副詞」は「副詞」を修飾することもできます。
文に動詞が2つ以上ある場合…副詞の位置は?
実際の英語の文では、必ずしも文の形がシンプルな「主語+動詞」とは限りません。
たとえば、
「主語 + can + 動詞」
「主語 + will + 動詞」
「主語 + don’t + 動詞」
「主語 + have + 動詞(過去分詞)」
……の場合、often, really, probably, just, only … など、文中に入る副詞((2)のパターン)は、どこに入るのでしょうか?決まりはあるのでしょうか?
この場合、can, will don’t, have … などの単語も、文法上は『動詞』と考えます。そして、「文中に動詞が複数ある」場合、副詞は、「最初の動詞の直後に入る」というのが一般的なルールとなっています。
たとえば、以下の文に always を入れたい場合、こうなります。
You can call me if you need help.
↓
You can always call me if you need help.
「助けが必要な時は、いつでも私に電話していいからね。」
例文)
She doesn’t usually smoke.
彼女は普段たばこを吸わない。
I have never seen him before.
彼には前に一度も会ったことがない。
He has probably forgotten his promise to Jason.
彼はたぶんジェイソンとの約束を忘れているのだろう。
She will definitely love it.
彼女はきっと・確実に(それを)気に入るだろう。
※推量の程度を表す副詞 ‘probably’ は、否定文に限り、以下の例のように「動詞の前」に来るのがよりナチュラルです。
She probably won’t see him tomorrow.
彼女はたぶん、明日は彼に会わないだろう。
She probably doesn’t smoke.
彼女はたぶん、たばこは吸わないだろう。
まとめ
副詞は、英語の文にニュアンスを加えるために、とても役立ちます。ネイティブの英語表現でもよく登場するので、副詞を効果的に使いこなせると表現の幅が広がります。
ところが、副詞の場合、単語を覚えるだけではなく、「文のどの位置に入れたらよいか?」というのが結構複雑。いざ自分の英会話に取り入れたいと思っても、どの場所に副詞を入れたらよいか???が、迷ってしまいますよね。
今回は、「副詞を入れる位置」についての、最もベーシックなルールを紹介しました。
文頭と文末はまあわかりやすいけれど、文中に入れるパターンがちょっとややこしいですよね……。
ただ、これはあくまで「基本的なルール」であって、必ずしもこうでなければ通じない、というわけではありません。特に会話の場合、文脈や表現によって、かなりフレキシブルだといえます。
たとえば、「あなたのパートナーは料理する?」と聞かれた時、
“Uhm… sometimes he does.”
(うーん……時々するかな。)
この場合「時々」が答えのポイントなので、sometimes を頭に持って来るのはとてもナチュラルです。
副詞の位置は、確かに「英語として自然に聞こえるポジション」というのがありますが、それも文脈によって変わるということ、また、万一そこを外してしまったとしても通じることも多い、ということは覚えておくとよいでしょう。会話や口語表現の場合は、文脈やイントネーション、間の取り方などで、伝わることも多々あります。自分でどんどん使ってみたり、色んなネイティブの話し方をYouTubeなどで聞いてみることで、だんだんと「自然に感じる」語順というのが感覚的に身についてくるんじゃないか、と思います。
一方、英語のライティングをする場合で、副詞の位置に迷った時は、今回紹介したルールを思い出すとよいのではないでしょうか。
また、「副詞の種類と位置」について、さらに詳しく学びたい方は、以下のページ(英文)がとても参考になるので、紹介しておきます。
Adverbs and adverb phrases: position – from English Grammar Today | Cambridge Dictionary
Adverbs: types – from English Grammar Today | Cambridge Dictionary
そういう私も、会話のシチュエーションでは、いまだに副詞の位置に自信が持てないまま、使ってしまいます(汗)。
ただ、以前英語を習っていた時に、先生に「副詞の場合は、たとえ場所をまちがっても、ちょっと不自然には聞こえるかもしれないけど、意味はほとんどの場合伝わるから、あまり気にしすぎなくて大丈夫だよ。」と言われたことが心の支えになっています(笑)。