家族で海外移住、子どもにとってメリット?デメリット?経験者の本音。

大人の方で「英語ができるようになりたい」と考えるケースとして、海外移住をめざしているから、という方も多いのではないでしょうか。

特に、私と同じくらいの年代であれば、子育て中の読者さんもいらっしゃるでしょう。

実際に我が家がそうでしたが、ファミリーが海外移住をめざす理由として、『子どもの教育環境・子育て環境』を理由に挙げる人は多いのでは?

少子高齢化が進む日本で、自分たちは何とかやり切れたとしても、10年20年先に子ども達が社会に出る頃の日本はどうなっているだろう・・・。今の政治や経済を見ていると、不安を感じてしまいます。そんな時、「海外で生きるという選択肢を我が子に残してあげたい」という考えに行きつくのは、ごく自然なことだと思います。

日本で生きるにしても、競争の厳しい社会の中で、「グローバル化」「国際社会で通用する人材」などと言われるようになり、国も個人も、子どもの英語教育に力を入れる流れが高まっています。

どちらにしても、子どもの将来の可能性を広げるため、我が子には英語力をつけさせてあげたい、と考える親御さんは多いでしょう。が、日本の中では「世界に通用する英語力」をつけさせるのは難しいのでは・・・と考える方も少なくないと思います。

そういう方にとって、「いっそ英語圏に移住して、ネイティブ英語の中で子どもを育てよう」という考え方もあるのでは。

とはいえ、海外で子どもが育っていくということは、どういうことなのか・・・。

私もかつてそうであったように、多くの方にとっては想像がつかないことだと思います。

大人の決断で海外移住したとしても、子どもにとっては本当にメリットばかりなのか?
デメリットはないのでしょうか?

今回は、「英語を学ぶ」話題から少し逸れますが・・・。

この点について、私自身が海外で子育て・教育を経験する中で感じたことを、紹介したいと思います。

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ネイティブ英語が習得できる - メリット

ネイティブ英語の習得という観点からすれば、英語圏へ移住した場合のメリットはとてつもなく大きいです。

子ども達は、周りの人とのコミュニケーションも、学校の勉強も、一歩家を出ればすべて英語。

日本人が苦手とする「英語の発音」「スピーキング」「日常会話」などについて、じかに触れて学ぶことができます。

子どもの吸収力はものすごいので、年齢が低いほど苦も無く習得していきます。

さらに、英語圏のローカルスクールに通うことで、学術分野で通用する高度な英語力を身につけることも可能です。

子ども達は小学校の時から継続して、エッセイの書き方、スピーチやディスカッションのしかた、実験や分析のレポートの書き方、などを少しずつ身につけていきます。

私は実際に、オーストラリアのローカル校に子ども達を通わせていますが、英語圏の英語教育は、英語で自分の意見を簡潔に主張したり、体験や学んだことを適切な形で伝える、という点に非常に力を入れています。「人前で自分の意見を話す」という練習も、子ども達は低学年からさまざまな機会を与えられます。

このような英語の基礎というのは、日本の学校ではやらないし、「単語と文法さえ知っていればできる」というものではないのだな、と私は感じます。

こうしたスキルを身につけることは、日本の外で活躍するためにはとても大切だと感じるし、そのためには、英語圏で教育を受けさせることはとても有効ではないか、と思います。

自信を持って成長できる - メリット

また、言語習得以外の面でも、日本の教育に何かしら疑問を抱いている人にとっては、海外での子育て・教育は魅力なんじゃないでしょうか?

私達夫婦の場合、海外移住をめざすと決めた理由はシンプルではなく、複合的な理由がありますが、そのどれも、子ども達の教育や将来に関わることです。

その中の一つに、やはり日本の公教育のあり方に疑問を抱いていた、と言う面があります。

私は、娘を小6まで日本で育て、その後オーストラリアの教育に触れました。

この2か国の教育を比べると、大きな違いがあります。

一般的な『学力』については、おそらく日本の学校の方が高度なことをやっていると思います。たとえば算数などは、日本の子ども達の方が圧倒的にレベルが高い

それなのに日本の子ども達は、世界的に見ても驚くほど「自信がない」んです。

参考)日本の子どもは理科が苦手、は本当?なぜ理科教育が必要なのか、ということ。|パースで手作りざんまい

「真面目に頑張っているし、優秀なのに、自信が持てない。

という子を育てる日本の教育に、私はギモンを感じています。

だって本来、自信を持って生きたいように生きるために、勉強をするのでは?

子ども達には、自分らしく、幸せを感じながら生きてほしい、と思ってきた私にとって、海外へ来たことは大いに意味がありました。

オーストラリアの教育は、まず子ども達が「自信を持ち」「学ぶことを楽しいと思う」ことに重点を置いていると感じます。

楽しそうに学校に通う子ども達の姿を見ると、私はどんなに状況が苦しくとも、海外移住してよかったな、と思います。

多様な価値観に触れられる - メリット

また、日本以外の価値観やライフスタイルを肌で感じられる、ということは、子どもにとってはメリットではないでしょうか?

日本では、日常触れる人種は「日本人」が圧倒的に多いです。

また、日本の社会は基本的に、誰もが同じ価値観やライフスタイルで生活している、という前提で成り立っています。

その中で、海外のさまざまな価値観や生き方に触れるということは、なかなか難しいかもしれません。

日本の中で調和のとれた日常生活を送っている分にはよいでしょう。しかし、いざ国際社会へ飛び込もうとした時、そのハードルはますます高く感じてしまうかも。

柔軟な感性や多様な価値観を育むためには、海外で暮らすことは大きな刺激になると、私自身は思います。

私の住む西オーストラリア・パースは、中国、東南アジア、南アジア、中東、アフリカなど、白人以外の国からの移民も多いです。オーストラリアの先住民族(アボリジナルピープル)もいます。

国際色豊かな環境で、子ども達は「世界にはさまざまな国・文化・言語・宗教・生活習慣がある」ことを肌で感じる機会に恵まれています。

子どもだけでなく、私自身もとても勉強になっています。

日本語の習得が難しい - デメリット

一方、海外で子育て・教育を行うとなると、どうしても日本在住に比べて困難な点もあります。

筆頭に挙げられるのが、やはり日本語の学習

特に、子どもが低年齢での海外移住であるほど、日本語を維持することは難しくなります。

日本語がある程度できないと、日本の親戚とのコミュニケーションが取れなくなるなどのデメリットがあります。

また親にとっても、子どもが日本語を話せなくなることは、受け入れがたい心情があるのではないでしょうか。

子どもが未就学児の場合は、家で日本語で話す、日本語のDVD・本を読み聞かせる、日本人のお友達を作る、などで日本語を教えている家庭は多いと思います。

しかし私自身の実体験も含め、現地のローカル校へ通い始めると、子どもの英語力は一気に伸びると共に、逆に日本語を身につけるのは難しくなってくるようです。

子ども自身の立場で考えればよくわかります。

学校の勉強も英語、友達とのコミュニケーションも英語。子どもにとって、年齢が上がるほど子どもなりの社会環境が広がり、重みも増してきますが、それがすべて英語なのです。子ども本人にとっては、日本語と英語、どちらが重要かは一目瞭然。

日本語では、読み書きを覚えさせる場合、ひらがな、かたかな、漢字、と種類が多く、特に漢字を覚えるのは子どもにとってはハードルが高いです。家庭でしっかりと教えない限り、覚えていくことはできません。

海外にも、主要な都市には日本人学校があり、そこで週末に日本語の補習校を開講しているところも多いようです。パースにもありますし、そこにお子さんを通わせる方は、こちらの永住者(おそらく国際結婚など)も含めて多いようです。

しかし、普段は学校の勉強を英語でやりながら、日本語も日本人ネイティブとして覚えていくことは、楽しんでできればいいけれど、キツイと感じる子もいるかもしれません。

親もかなりの労力を割く必要があるでしょう。

日本の文化や伝統を教える難しさ - デメリット

また、言葉だけでなく、日本の文化や伝統などを教えるのも難しくなります。

こうしたものを子どもに教える際、『家庭の役割が重要』とよく言われますが、私自身が海外に来てみて思ったことは、やはり社会や学校などの影響は大きいな、ということです。

たとえば、お箸を使うこと。

日本ではたいてい小学校に入るまでには、どの子もお箸をそれなりに使えるようになると思います。

自分の子育てを振り返ってみると、幼稚園や学校でお友達がみんなお箸を使っていたり、先生や周りの大人たちがお箸を使っていたり、そういうのに影響されて子ども自身がお箸に興味を持ち始めたように思います。

あるいは、テレビの登場人物や、CMのワンシーンでも、お箸を使ってご飯を食べている場面が(おそらく多くの人は気にもとめないだろうけど)出てきているんだと思います。

そういうのを見ながら育つ。だから、子どもにとっても、お箸を使うことが「当たり前」になるのでしょう。

我が家の息子は、お箸を使わせようとしても練習するのを嫌がります。

モチベーションがないんだなーと感じますね (^^;

また、伝統行事なども教えるのが難しいと感じます。

たとえば、節分やひな祭り、子どもの日・・・そもそも、炒り大豆やひなあられが気軽に買えない。

我が家はおひなさまやこいのぼりを飾りますが、正直子ども達も「ふーん」で終わっちゃいます。

やっぱりこうした行事と言うのも、街へ行けばひなまつりっぽいディスプレイを目にしたり、こいのぼりを見かけたり、行事にちなんだ食べ物がスーパーで売られていたり・・・そうしたことで雰囲気を感じ取る部分も大きかったんだなー、と気づきました。

また、オーストラリアは特に南半球ですので、日本と季節が反対。

日本の行事と言うのは、季節感と関わっているものも多いので、オーストラリアで同じことをやってみても、どうも雰囲気が盛り上がらないがっかり感があります。

日本である程度育った子は、その記憶があるのでよいでしょうが、小さいうちに海外に来た場合は、日本の伝統や行事を本当に理解するのは難しいんじゃないかと思います。

ビザ・お金・仕事の問題

海外移住のメリット・デメリット以前に、まず「海外に移住する」ということ自体が難しいことです。

もっとも大きいのが「ビザ」

このブログでもビザの話は何度が取り上げていますが、とにかく自分の母国以外に滞在するとなったら、「ビザ」というものが必要です。

どんなに「子どもを海外で育てたい!」と決断しても、ビザが取れなければ、海外移住は不可能です。

仮にお金があっても、ビザを取るために現地で就職しなければならないケースもあります。
英語圏への移住なら、一定以上の英語力がないとビザが取れないこともあります。

ビザの要件は国によってさまざまですが、国の裁量次第でどうにでもなるので、情勢が変われば突然要件が変更になることもあります・・・海外移住をめざす場合、何よりビザに振り回されることになります。それに苦しんでいる人は多いんじゃないでしょうか。
(我が家も含め 汗)

ビザ次第で、海外移住にかかる資金もずいぶん変わってきますし。

海外移住のさまざまな悩み、お金のこと、言葉のこと、生活環境の違い、子どもの教育・・・それらはすべて、ビザをクリアしないことにはスタートラインにすら立てません

血縁やツテに頼らない(自力での)海外移住は、どんなに努力をしてもお金をかけても、うまく行く保証はありません。

そうした大きな賭けに自分と子ども達の命運をかけること。これを「海外移住のデメリット」と考える人も、当然いるでしょう。

まとめ

もうすぐ私達家族は、オーストラリアに来て丸4年になります。

最初の一年はとにかく前を向いて懸命に走ってきた日々でした。
毎日の生活が新しい出会いと学びの連続でした。

ですが、4年近く暮らしていると、海外に来たことで得たモノも、逆に日本を出て失ったモノも、色々とわかり始めてきました。

今回は、そんな今の時点で私が、子どもの教育という観点で海外移住を考えた時、メリットと思う事、デメリットと思う事、をまとめてみました。

という私自身ですが、トータルで考えて、やはり日本を離れてここにきて、よかったと思っています。

どんなこともそうですが、子育てについても、すべてを望むことはできません。

さまざまな理想があるけれど、パーフェクトはあり得ないのです。

私は最終的に、「子ども達が自分らしく、幸せを感じて生きて行ってほしい」です。

どこの国に住むか、どんな仕事をするか、結婚するのかしないのか、子どもを生むのか生まないのか・・・それは、「本人が幸せな生き方をした」結果、何らかの形として辿り着くもの。逆に、どんな立場を手に入れても、幸せを感じられないのなら意味がない、、、というのが私の思いです。

そこを大切にして育てたい、と思った時、やはりこちらの教育環境に私は満足しているし、日本よりも、より広い選択肢を子ども達に残してあげられるんじゃないか、と考えています。

海外移住の道筋は人それぞれ。国によっても、ぶち当たる問題や感じることは異なるでしょう。一経験談として、参考にしていただければ幸いです。

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