英語の学習では、「単語を覚える」ということは、地味ですがやはり大切です。
語彙を増やせば、英文の意味を理解することも、自分の言いたいことを表すことも、よりラクになってきます。
私自身も、毎日ニュースを読んだり、動画を見たり、人と話す中で、知らない単語と言うのは必ず出てきます。忘れてしまうこともありますが、できるだけ意味を覚えたいと思っています。
その中でも、時には、「へー、英語でこんな表現をするんだ!」「なんだかちょっと面白い言い方だなー」なんて思うものもあります。
私が、ごく個人的に、英語の中でも面白い表現だと思うのは、複数の単語をくっつけて一つの言葉にしていまう表現です。たとえば、叶姉妹のおかげで
「グッドルッキングガイ(good-looking guy)」
という言葉が有名になりましたよね!これは、「good(良い) + looking(~に見える + ing)」と、2つの単語をくっつけて、「『見た目のよい・かっこいい』男性」という意味を表しています。
また、化粧品の商品名などで、
「ロングラスティングマスカラ(long-lasting mascara)」
などと聞いたことがあるかと思いますが、これも、「long(長い)+ lasting(続く・もつ + ing)」で、「『長持ちする』マスカラ」という意味です。
実はこのような、「単語と単語がハイフンでくっついて、一つの形容詞になった」という単語は、英語では多用されます。話し言葉では意識しませんが、英語のニュースや本、コラム、ブログ、説明書、SNS、などなど……英語の文字を読んでいると、頻繁に目にします。
このような単語を、文法的には「複合形容詞(compound adjectives)」と言うようです。まあそれはよいとして……。実は色んな使い方や表現があり、とても奥が深い!
そしてまた、なかなか面白い表現もたくさんあるんです。
というわけで、今回はそのような、「単語をハイフンでつないでできた形容詞」を集めてみました。文法的な話よりも、ネイティブ英語でよく使われる単語や、インパクトのある面白い単語を紹介します。
「●才の~」正確に書ける?
文法の話はしない……と言っておきながら(笑)、最初にこれだけはしっかり押さえたい、というものを説明します。
単語を連結した形容詞で、とにかく頻繁に使われるもので、
a five-year-old boy
5才の男の子
a 50-year-old Japanese woman
50才の日本人女性
というものがあります。
学校の英語の授業で、「私は13才です。」「私の弟は5才です。」という言い方を以下のように習いますよね。
I am 13 years old.
My little brother is five years old.
ですが、「5才の男の子」という場合は、‘a five-year-old boy’となり、「5才の」の部分は形容詞になります。このような使い方はニュースを始め、英文表現でとてもよく出てきます。
five-years-old ではないので注意!
In an incident reminiscent of a “Home Alone” sequel, a 12-year-old boy in Australia ran away from home last month after an argument with his mother — and flew to Bali by himself, using his parents’ credit card.
「ホーム・アローン」の続編を思わせるような出来事の中で、オーストラリアの12歳の少年は先月、母親との口論の後で家出した。— そして親のクレジットカードを使って一人で飛行機に乗りバリへ行った。
日常からビジネスまで!幅広い場面で使われる単語
ここからは、単語をハイフンでつないで作る形容詞を紹介していきます。
実際には本当にたくさんの単語があるので、とてもすべては書き切れませんが、私自身が比較的、ニュースやビジネスのコラム、子どもの学校からのお知らせ、商品のレビューやSNSなど、さまざまなシーンでよく見かけるもので、だんだんと覚えていったものをピックアップしていきます。
英語 | 意味と使い方 |
---|---|
in-depth | 詳細な。綿密な。
調査などが、細部まで掘り下げて深く行なわれている様子。
an in-depth analysis/study/report 深い部分まで綿密に行われた分析/研究/報告書 |
hands-on | (知識や理論を学ぶだけでなく)実際に行う・経験する
hands-on activities 体験型のアクティビティ hands-on experience 現場での経験 |
so-called | いわゆる、一般的にそう言われている
(そう言われてはいるが、実際は……という意味を含む時もある)
so-called climate change experts いわゆる「気候変動の専門家」と言われるような人々 5 so-called healthy foods you should avoid. 一般的に健康によいと思われている、(本当は)避けるべき5つの食品。 |
second-hand
または secondhand |
中古の
a second-hand book shop 古本屋 ※ second hand の場合は、時計の秒針を意味するので注意! |
out-of-date | 時代遅れの、古い、遅れている
an out-of-date hairstyle 流行遅れのヘアスタイル |
up-to-date | 現代の、最新の
up-to-date technology 最新の技術 |
cutting-edge | 最先端の、最新の
cutting-edge technology 最先端の新技術 |
one-on-one | 1対1の
one-on-one meeting 1対1の面談。二者面談。 ※日本語ではよくマンツーマンと言うが、英語では man to man は違う意味になるので注意! |
fast-paced | 展開が速い、急激に進展する
fast-paced work environment (さまざまなことに対し)素早い対応が求められる労働環境 |
year-round | 一年を通して(使用できる・有効な)
a year-round program 一年中行われているプログラム |
single-use | 使い切りの、一度使って使い捨ての
single-use plastic products 使い捨てのプラスティック製品 |
well-、self- がつく言葉はたくさんある
「よく~された」の意味を持つ ‘well-過去分詞‘ のパターンは、数多くの形容詞があります。
比較的よく使われるかな、と思うのは以下のものですが、その他もぜひ辞書やネットで調べてみてください。
英語 | 意味と使い方 |
---|---|
well-known | よく知られた
She is a well-known designer for her contemporary design. 彼女は、そのコンテンポラリーなデザインによってよく知られたデザイナーだ。 |
well-paid | よいお給料をもらっている(人、仕事)
a well-paid job お給料の高い仕事 |
well-equipped | 設備が整っている、必要な装備がある
a well-equipped kitchen 装備が充実しているキッチン |
また、‘self-単語‘ で、「自分で~する」という意味を持つ形容詞を作ります。こちらも、バリエーションがとても豊富なので、辞書やネットで調べてみると、面白いと思います。
英語 | 意味と使い方 |
---|---|
self-taught | 独学の
(学校などで公式に教わったのではなく、自主的に勉強して知識や技術を獲得した、という意味)
a self-taught pianist/scientist 独学のピアニスト/科学者 |
self-motivated | 自分から進んでやる気がある
He is a self-motivated learner. 彼は言われなくても自から進んで学習していくタイプだ。 |
self-employed | フリーランスや自営業など、(会社に勤務するのではなく)自分で仕事を得ている
a self-employed cleaner 自営の清掃屋 |
self-paced | (活動や学習など)自分のペースに合わせてできる
a self-paced online course 自分のペースで進められるオンライン講座 |
self-help | 自分で自分の問題を解決する、
または(公的支援ではなく)同様の問題を抱える人同士で助け合う、互助の
self-help groups 互助会(よくSHGと略される) |
求人や学校関係、コミュニティの広報や税金など、社会生活の中でよく登場する言葉を集めてみました。
感情や様子を表す面白い言い方
英語なんだけど、単語の組み合わせで何となくイメージが伝わるような、面白い表現もたくさんあります。
私自身が「インパクトがあるな!」「面白いな!」と思った表現を紹介します。
英語 | 意味と使い方 |
---|---|
mind-blowing | ものすごくびっくりする、ショッキングな
Especially the ending was unexpected and mind-blowing. 特に(物語の)終わり方が予想外であぜんとしたよ。 ★「心が吹っ飛ぶ」なんて、うまく驚きを表現した言葉だと思います。 |
nerve-racking または nerve-wracking |
不安や心配などで、精神的に負担を感じさせる
a nerve-racking situation 神経がすり減るような状況 ★「神経が痛む」とは、苦痛な様子がよく伝わる表現です。 |
mouth-watering | (食べ物の)見た目や匂いがとっても美味しそうな
a mouth-watering food photograph とてもおいしそうな食べ物の写真 ★日本語でも「よだれが出そうな」と形容しますが、英語でも、口の中に唾液が満ちる様子を表すのですね。 |
eye-catching | 目を引く、目立つ
eye-catching headlines 目を引く見出し ★日本語でも「目を引く」と言いますが、英語でも「目をとらえる」と表現するのが面白いです。 |
life-changing | 人生を変えるほどの(インパクトの大きな)
a life-changing decision 人生を変えるほどの大きな決断 ★誰にでも、自分にとって「人生を変える」ほどの大きな出来事はありますが、英語だと一言で表せるのですね。 |
cold-blooded | 冷酷な、無慈悲な
cold-blooded murder 残忍な殺人事件 ※変温動物のこともcold-bloodedと言うので注意! ★情がなく冷たいようすを「冷血な」といいますが、まさにcold-bloodedですね。 |
down-to-earth | 身近で現実的な、地に足のついた、リアリスティックな
the down-to-earth approach 現実的な(理想論でない)アプローチ She is a down-to-earth person. 彼女は地に足のついた人だ。 ★日本語でも「地に足がついた」と言いますが、英語でもなんとなくイメージは共通しています。 |
まとめ
今回紹介したような、ハイフン(‘-‘)で単語をつないで作られた「形容詞」は、本当にたくさんあります。特に、英文を読む時には、よく目にする形だと思うので、親しんでおくとよいのではないかと思います。
面白いのは、日本語と英語で全然違う言語にも関わらず、‘mouth-watering’ や ‘down-to-earth’ など、なんとなく日本語と共通するような表現があることです!
個人的には、興味深いなーと思いました。
一つ難しいのは、こうした「二つ以上の単語を組み合わせて単語を作る」時のルールは、実は色々と細かく決まりがあります。たとえば、‘the heartbreaking moment’(胸が押しつぶされるほど悲しい瞬間)や ‘multicultural communities’(多文化で形成された地域社会)などは、ハイフンでつなげずに一単語として書き表します。一方、‘fully equipped kitchen’(完全装備されたキッチン)の場合は、ハイフンを使わずに2単語として書き表します。
今回は、そうした文法については触れませんでしたが……。すべてを正しく書き表そうとすると、やはり深い勉強が必要です。まずは、一つ一つ覚えていくことが大切ですね。
ですが、英語ネイティブでない私達にとって、そこまで完璧に読み書きをするのは大変なことですし、たとえば ‘heart-breaking’ と書いてしまっても「通じる」という意味では大丈夫かもしれません。
今回はまず、「言葉の組み合わせ」によって作られた単語が英語にはたくさんあることと、その表現の面白さをお伝えできたらいいな、と思ってまとめました。