今年も着々と終わりに近づいていますね。
西オーストラリア州の公立学校は、先週で一年間の授業が終了しました。
我が家の子ども達は、学校でお楽しみパーティがあったり、お楽しみ遠足に行ったり、と、ちょっと特別な1週間を過ごしました。
そして、成績表……。
過去の投稿でも少し書きましたが、こちらの学校でも日本のように、学期末には「通知表」のようなものが渡されます。
こちらは、教科ごとに、5段階評価になっています。
そして、先生方のコメントもあります。
そのコメントを読むと、この1年、子ども達がそれぞれにがんばったことを、改めて知ることができ、親としてとてもうれしいです。
「その学年で期待される到達度」、いわゆる「成績」は、5段階評価で示されます。それが良ければ、もちろん親としても安心だし、うれしいことです。が、それとは別に、「今年の始めに比べて、この部分がとても成長した」「今ではこういうことができるようになった」ということを、先生はコメントに書いてくれます。それは、5段階評価の点数を見るだけではわからないことです。
そうしたコメントから、先生が一年を通して、「成長」という視点で我が子を見てくれていた、ということがわかり、胸が熱くなります。
こちらの教育では、そうした「子ども個人がどれだけ成長したか」ということを、「客観的な学習の到達度」とは別の軸として、注目しているように感じます。「成長を実感する」ことは、子どもにとって大変よいフィードバックになり、やる気につながり、先生との信頼関係も深まります。
そこで今回は、これまでを振り返って「成長したなぁ」「成長したね」と言いたい時……、自分や人の「成長」や「進歩」を言い表したい時、英語でよく使われる表現を紹介したいと思います。
make progress で「成長する」 「進歩する」
一般的に、「成長する(動詞)」という日本語にあたる英単語として、grow を思いつく人が多いでしょう。「成長」という名詞形は growth です。
この grow/growth は、生物が発育していく、という意味合いでよく使われます。たとえば、子どもや動物、植物が成長して大きくなる(大人になる)、とか。あと、規模が大きくなる、発展する、などの意味で、「経済成長(economic growth)」などにも使われます。
一方、人の「技術や能力、学習の習得度が『良くなっていく』」=「成長している」ということを表現したい時は、
という表現がよく使われます。
たとえば、「英語のリスニングがすごく上達した」とか、「数学の成績がよくなった」、などと言う時に使います。あるいは漠然と、以前より「進歩した」「成長した」「良くなった」ということを言う時に使います。
人だけでなく、国や世界の状況などが「良くなる」「進歩する」という意味でも使われます。
例文)
She made significant progress in math this semester.
彼女は今期、数学の分野で目を見張る成長をした。
He made huge progress in his writing.
彼のライティングはものすごく良くなった。
The country has made significant economic progress.
その国は経済的に注目に値する発展を遂げた。
Great progress has been made in reducing nuclear weapons.
核兵器の削減に関して、大いなる進展があった。
progress は、「進歩」「向上」というような、「良くなっていくこと」を表す名詞です。progress を使って、こんな言い方もできます。
She should be very proud of her progress.
彼女は、自身の成長を誇りに思うべきだ。
improve を使って「成長する」「上達する」
また、「よくなる」「上達する」「成長する」という時、
improve 成長する、向上する(動詞)
improvement 成長、上達、向上(名詞)
という単語も使われます。
以下の例文のような表現は、ある技術や能力について、あるいは全体的に「成長した」「上達した」「向上した」という時の、英語らしいナチュラルな表現です。
例文)
My writing over this semester has improved hands down.
今学期を通して、私のライティングは明らかに上達した。
Their English have improved a lot.
彼らの英語はものすごく良くなった。(英語が上手になった)
He has improved so much during the year and your contribution has been part of that success.
彼はこの一年でとても成長したし、あなたの貢献がその成功の一因です。
I’m very impressed with my son’s improvement at school.
息子の学校での成長に、とても感動しています。
※ improve は、説明した使い方の他に、improve something で「~ を向上させた」という言い方もできます。が、人が「成長した・向上した」と言う場合は、上の例のような言い方が一般的です。
ちなみに、improve というと、日本語では「改良する」「改善する」と訳されます。「悪い部分を直してより良くする」というニュアンスで受け止める人もいるでしょう。
もちろんそういう意味でも improve は使われます。
が、人の「成長」や「進歩」「より向上していくこと」を表現する時にも、improve はとても良く使われる、英語らしい表現です。make progress と同じニュアンスで、表現のバリエーションとして覚えておくとよいでしょう。
How far I’ve come. ってどんな意味?
もう一つ、過去を振り返って「どれだけ成長したか」を思う時の表現を紹介します。
日本語に直訳して考えるとピンとこないかもしれませんが、英語ではとてもよく使われる表現です。私は、とても英語らしい言い方だな、と思います。
あえて訳すと、「私がどれだけ遠くまでやってきたか」という感じでしょうか?
つまり、以前にいたところから、どれだけ遠い道のりをやってきたか……「成長」や「進歩」「変化」を、「距離」に例えた表現といえます。
もちろん、I を別の人称にしたり、人の名前を使うことができます。団体や組織などの「発展」についても表します。
例文)
I’m extremely happy with how far I’ve come.
自分がこれだけ成長したということに、私はものすごく満足している。
It’s great to see how far these kids have come. When they came to this school, none of them could read and now they all love books!
この子達がどれだけ成長したかを見て、とてもうれしい。この学校に入った時は、一人も文字が読めなかったのに、今はみんな本が大好きよ!
I’m very proud of how far I’ve come. Even just two years ago I was struggling and not happy and I’ve become this whole new person.
自分がこれだけ成長したことを、とても誇らしく思う。たった2年前は、私は苦しんでいて幸せじゃなかったけど、(今は)こんなまったく新しい人間になったのよ。
New research shows how far Amazon has come in the category, but also how much it has to go.
新しい調査は、アマゾンがその部門においてどれだけの成長を遂げ、また今後どれだけ進歩しなければならないか、を示している。
まとめ
「成長する」「進歩する」ということは、人にとってとても大切なことですよね。
私達は、「ミスがないか」「欠点がないか」といった、完璧を求めて、それに至らないと落ち込んでしまいがちです。
自分を評価する時も、「人と比べて良くできるか」「標準よりも良いか」ということを、より重視しがちです。
それももちろん大切なことでしょうが、「過去と比べてどれだけ成長したか」ということも、もっともっと評価されていいんじゃないか……。と、私はオーストラリアの文化に触れて、思うようになりました。
そして、英語にはそれを表現する言葉ある、というのが、素敵だと思いました。
欧米は成果主義だと思われがちですが、「(他人と比べてではなく)過去の自分に比べてどれだけ成長してきたか」ということが、ひょっとしたら日本よりも価値を認められているのかも?と私は感じます。
最後に、”how far I’ve come” のフレーズが含まれた、引用を紹介します。
“The only time you should look back in life, is to see how far you have come.”
by Kevin Hart
「人生で過去を振り返るべき唯一の時は、自分がどれだけ成長したかを確かめる時だ。」
英語の勉強も同じ……。
いつまでも理想の英語ができるようになれなくて、落ち込むこともありますが、勉強を続けていくことで、過去の自分よりは確実にうまくなっているはず!
時には、それを実感できる機会を持ちたいですね。