「英語の文法を学ぶ」と聞くと、多くの人は、学校の英語教育をトラウマのように思い出すでしょう(笑)。
実際に、コミュニケーションとしての英語を話す時、特にカジュアルな会話であれば、文法を特に気にしなくてもそれなりに通じるのは事実です。
だから、まずは難しく考えず、知っている単語や基本的な言い回しを使って、コミュニケーションしてみることは大切!!
でも、やはり「キーとなる」文法を理解していないと、相手の言ったことを正確につかめない、とか、自分の言いたいことをちゃんと伝えられない、という場面も必ず出てきます。
その一つが、if の使い方。
if は、おおまかにいうと、「もし~ならば、~だ。」という、物事の条件を表すために必要な「接続詞」です。
「もしカナが来たら、そう伝えとくよ。」
「もしこの商品をご希望なら、予約することもできますよ。」
「もしこのバッグの黒があったら、買いたかったんだけどな。」
「(もし)その噂を知ってたら、彼とは付き合わなかったよ!」
などなど……。日本語の会話でも、日常的に使わない人はいないのでは?
if は、「こうである場合は、こうする」という、条件によって行動を決めたり、その後の会話の内容を決めるために、とても大切な英単語です。
しかし、if が普通の接続詞と違うのは、時制(現在形・未来形・過去形・過去完了形)によって、意味が少し変わってくること。
if の文法には、この「時制」ごとに4つのパターンがあるんですが、特に過去・過去完了形は、「仮定法」との関わりもあり、混乱しやすいですよね。
……まあ、とりあえず難しい話は置いといて。
今回は、if の使い方を、4つのパターンに分けてまとめます。
一つ一つを見ても混乱しやすいのですが、4つの使い方を比べてみると、結構わかりやすいです。できるだけ、難しい文法用語は使わずに説明していきますね。
1.「現在形」の if 文
まず、「もし~ならば、~だろう」を表す if 文は、以下のようになります。
If 現在形の文, 主語 + will + 動詞 …
もし[現在の文] ならば、 [主語 + will + 動詞 …] だろう。
これは、「今が~ならば」、「これから・未来についてはこうなる」ということを言っています。
If ~, に続く文は、 未来のことを表しているので、[主語 + will + 動詞 …] の形になることが一般的です。基本的な言い方として覚えておくとよいでしょう。
しかしながら、命令文が来たり(もし~ならば、~してください、など)、違う形もあり得ます。
例文)
If you are hungry, I‘ll cook lunch right now.
もしもあなたがお腹空いているなら、今すぐに昼ご飯を作りますよ。
If it‘s true, I‘ll never see him again.
もしもそれが本当なら、私はもう二度と彼とは会わないよ。
If it smells bad, don’t eat it.
もしも悪いにおいがしたら、食べないで。(たとえば冷蔵庫の中に置いてあった食べ物を、誰かが「食べていい?」と聞いてきた時)
※I’ll = I will の略
また、If ~, の部分については、「今が~ならば」だけでなく、「これから先に~ならば」という、未来のことについても言うことができます。
例文)
If I find your sunglasses, I’ll keep it.
もしあなたのサングラスをみかけたら、私がとって(保管して)おきます。
If you feel unwell, please tell me.
もしも具合が悪くなったら、教えてください。
これらは、『今』ではないけれど、これから先に「もしサングラスをみかけたら」「もし具合が悪くなったら」、ということを意味しています。
この時、If ~, の部分の文は、あくまで現在形であることに注意です!
× If I’ll find your sunglasses, I’ll keep it.
× If you‘ll feel unwell, please tell me.
2.「過去形」のif 文
次に、1.で説明した文を、単純に過去形にしてみます。
If 過去形の文, 主語 + would + 動詞 …
もし[過去形の文] ならば、 [主語 + would + 動詞 …] だっただろう。
これは、どんな意味を表すでしょうか?
たとえば、
という文は、何を意味しているでしょうか?
この場合、動詞の形は「過去形」ですが、意味的には
「もしも私が(今)お腹がすいていたら、それを全部注文するだろうなぁ。」
という感じになります。
重要なのは、「もしも(今)お腹がすいていたら」という部分。これは、「もしも今~だったら」という、今現在に対する仮定の話をしているのです。(だから、この使い方は『仮定法』と言われます)
「でも実際には、今はお腹すいてないから、全部は注文しないけど。」= 全部は注文しない、というのが、現実のことです。
そんな時、(なぜか?)英語では、過去形を使うんですね。
If 過去形の文~, に続く文は、 [主語 + would + 動詞 …] が一般的です。また、would の代わりに could が使われる(~できただろうな、というニュアンス)こともあります。
例文)
If I had enough money, I would definitely buy it.
もしも十分なお金があったら、ゼッタイにそれ買うんだけどな。(=十分なお金がないから買わない)
If the flight wasn’t that expensive, we could go back to Japan more often.
もしも航空券がそれほど高くなければ、もっとちょくちょく日本に帰れるんだけどね。(= 航空券が高いので、そんなに日本に帰れない)
If you were the President of the United States, what would you do?
もしもあなたがアメリカ合衆国の大統領だとしたら、何をしますか?(=実際には大統領じゃないけど、もしも仮にそうならば……)
この「過去形の if 文」において大切なポイントは、
- 過去形でありながら、現在のことを表している。
- 「もし(今)こうならば…しただろうけど。」という仮定を表す。
- 現実はそうではない、ということを示している。
です。
3.「過去完了形」のif 文
2.では、「過去形」の if 文を説明しました。そこで大切なこと……「形は過去形だけど、意味は過去じゃない、今現在のこと!」
では、その if 文を、『過去のことについて』言う場合は、どうしたらよいでしょうか?
……動詞を、「過去完了形」にします。過去完了形とは、I had done … などのように、
[ had + 完了形 ] です。
If 過去完了形の文, 主語 + would have+ 完了形の動詞 …
もし[過去完了形の文] だったら、 [主語 + would have + 完了形の動詞 …] だっただろう。
これは、過去のこと、以前にあったことについて、「もし(あの時)~だったら、~だっただろう。」ということを表しています。「でも現実にはそうではなかった」、という意味を含んでいます。
たとえば、以下の例文では……。
If he hadn’t found me there last night, we would have died.
もしも昨夜、彼があそこで私達を発見してくれなかったら、私達は死んでいただろうね。
過去の出来事について、「もし(あの時)~だったら」という仮の話をしています。でも、実際には「彼が私達を発見してくれたから、私達はあそこで死なずにすんだ」という事実があります。(そのため、こちらも文法的には『仮定法』と呼ばれます)
If 過去完了形の文~, に続く文は、 [主語 + would have + 完了形の動詞 …] が一般的です。また、would have の代わりに could have (~できただろうけど、のニュアンス)が使われることもあります。
例文)
If I had known about that, I would have helped you.
もしもそのことを知っていたら、手を貸したんだけど。(=知らなかったので、手を貸せなかった)
If the train hadn’t been late, they could have seen the opening of the event.
もしも電車が遅れなかったら、彼らはイベントの始まりを見ることができたんだけど。(=電車が遅れたので、見られなかった)
If I had been hungry, I would have eaten all of them.
もしも(あの時)お腹が空いてたら、全部食べたんだけどね。(=お腹が空いていなかったから、食べなかった)
「過去完了形の if 文」において大切なポイントは、
- 過去のことを表している。
- 「もし(あの時)こうだったら…しただろう。」という仮定を表す。
- 実際にはそうではなかった、ということを示している。
です。
4.「現在形+現在形」の if 文
少し戻りますが、1.「現在形」の if 文 では、
If 現在形の文, 主語 + will + 動詞 …
(今・未来が)~ならば、(未来については)こうなるだろう
という if 文を紹介しました。
ところで、現在形の if 文には、もう一つパターンがあります。それは、
If 現在形の文, 主語 + 動詞 …
~ならば、~になる(法則)
というものです。
1.の場合は通常、If ~, I will … のように、will が入ります。先のことを推測している、というニュアンスが込められます。
が、この場合は、will がない!
If ~, も、その後に続く文も、どちらも単純な「現在形」。
この場合は、「常にそうなる、という、法則」を表します。
例文)
If you mix red and white, you get pink.
赤と白を混ぜると、ピンクになる。
If you leave bread at room temperature for a week, it gets mold.
一週間パンを室温に置いておくと、カビが生える。
If you don’t clean a cut, it gets infected.
切り傷を清潔にしないと、菌に感染する。
このような if 文もあることを覚えておくとよいでしょう。
まとめ
というわけで、今一度4つのパターンを以下にまとめます。形を見比べてみてください。
1.If 現在形の文, 主語 + will + 動詞 …
→「もし(今・これから)~ならば、(これから)~だろう」(条件)
2.If 過去形の文, 主語 + would + 動詞 …
→「もし(今)~ならば、~なんだけど」(現在の仮定)
3.If 過去完了形の文, 主語 + would have+ 完了形の動詞 …
→「もし(あの時)~だったら、~だっただろう」(過去の仮定)
4.If 現在形の文, 主語 + 動詞 …
→「もし~ならば、(常に)~なる。」(法則)
if 文の基本として、この4つをマスターしちゃいましょう!
もちろん、実際の英語では、例外なども色々と出て来るとは思います。特に会話であれば、話の流れやジェスチャーなどで、理解できることも多いです。
ですが、英語学習中である私達にとっては、自分の言いたい内容に応じて、適切な文法で表現できることが、一つの目標ですよね!そのためには、まずこれらの if 文のバリエーションをしっかり覚え、使い分けることをめざしたらよいんじゃないかな、と思います。
特に、2.の「現在の仮定」、3.の「過去の仮定」は、紛らわしいですよね。表面的な英語の内容と、実際の事実が、異なります。きちんと「仮定」であることを理解できないと、事実を間違って受け取ってしまうことになりかねません。意味と文型をしっかり覚えていきたいですね!